ここから本文エリア 野良猫ケア地域力限界 助成中止で資金難2008年06月05日 野良猫を「地域猫」と名づけ、地域住民が協力して世話をする取り組みが曲がり角を迎えている。悪臭や鳴き声、荒らされる家庭ゴミなど、後を絶たないトラブルを減らす目的で、行政が費用の一部を補助する例もあるが、資金が足りずに活動を中止する地区も出ている。(笹井継夫)
住民が餌場やトイレの設置場所を決めて野良猫を世話したり、不妊去勢手術を施したりする地域猫活動は、11年前に横浜市磯子区で始まったとされる。環境省によると、少なくとも全国約150市町村に広まっている。 神戸市灘区にある城の下通3丁目地区。3匹の猫が住宅の庭先に設けられた餌場に寄ってきた。同地区には同じような餌場やトイレが計9カ所ある。神戸市が05年度に設けた「地域猫モデル地区」の指定を受け、住民約10人が食べ残しや汚物を交代で掃除するルールを定めた。 不妊去勢手術はオスで約5千〜1万円、メスで約8千〜1万8千円。これまでに約50匹の手術を終えた。市の援助は、このうち25匹分の1割にあたる約3万5千円と活動当初に支給された4万円のみ。足りない分はバザーの収益金や寄付で補った。自治会長の加藤三彦さん(64)は「行政の本格的な援助がないと活動は困難」と訴える。 市のモデル地区は昨年度までの時限事業。同地区を含めて6地区が指定されたが、うち2地区は事業期間中に活動を休止した。 NPO法人「動物を守る奈良県民の会」(奈良県平群町)は昨年、約500匹の不妊去勢手術を手がけ、費用は自治体の助成金や会員の負担で賄った。昨年度は7市町が手術費を助成していたが、今年度、財政難の奈良市で打ち切りに。同会の渡瀬良子理事長は「地域猫活動の結果、保健所で処分される猫が半減した自治体もある。長い目で活動を見守ってほしい」。 兵庫県尼崎市は昨年7月、「野良猫不妊手術助成金交付要綱」を定めた。市の講習会を受講した住民は、猫1匹あたり1万円の手術費の助成を受けられるが、上限は100匹。昨年度、約600匹を手術した同市の市民団体「ホームレス猫不妊運動ネットワーク」は、市の要綱を利用して96匹分の助成を受けたが、それ以外は約230人いる会員の自己負担で賄った。 環境省動物愛護管理室は「資金の問題だけでなく、地域の合意形成を得られないと、活動の継続は難しい」としている。 PR情報関西ニュース
|
ここから広告です 広告終わり お知らせ関西の企画特集関西の特集
朝日新聞社から |