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新高齢者医療 低所得者の負担増、高所得者は負担減

2008年06月04日23時02分

 後期高齢者医療制度で、国民健康保険から移った人のうち、年金収入177万円未満の低所得世帯ほど保険料負担が増えた割合が高く、特に大都市部では低所得者の約8割が負担増だったことが、厚生労働省が4日発表した調査結果で分かった。年金収入292万円以上の高所得世帯の約8割は負担が減っていた。

 厚労省は、「低所得者は負担が軽減され、高所得者は負担が増える」と説明してきたが、それと相反する結果が出た。同省は「制度を実施する前に調査するべきだった。(保険料の軽減で)もう少しきめ細かい対策ができたはず」としている。

 調査は、所得や世帯構成が異なる12種類のモデル世帯について、保険料の変化を全国1830の市区町村ごとに試算。それをもとに推計したところ、全体的には約7割が保険料負担が減った。

 所得階層別にみると、収入が高いほど負担増の世帯割合が減る。負担増となった世帯の割合は全体では31%。東京23区や名古屋市などが採用する保険料の算定方式では、低所得者の78%が負担増となる一方で、高所得者の負担増は15%だ。

 都道府県ごとの差も大きく、栃木・群馬は負担増となる人は12%だが、沖縄県は64%、東京都は55%と半数を超す。厚労省は、「国保は自治体独自に軽減措置や保険料値上げを抑えていたところがある。そうした地域では、後期高齢者医療制度では、独自策が取れず、保険料が上がる」などと説明している。

 一方、与党が3日決めた低・中所得者向けの負担軽減策を実施した場合、負担増となる世帯の割合は25%に減り、沖縄県、東京都の負担増もそれぞれ41%、31%に減るとしている。

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