
航空の世界には、後方乱気流(ウエーキタービランス)というものがあって、最悪の場合には後続機がこの乱気流に巻き込まれて、墜落と言う事故も実際に日本で起こっています。
航空の場合はこの後方乱気流は下へ流れるのが普通ですので 高度を先行機より高く維持すれば避けることが出来ます。
今回のイージス艦の衝突の場合は法的な優先順位についてあれこれ言われていますが、実際的には超大型船が優先順位が下だといっても、右や左に回避しながら進むということはありえないのではないでしょうか。
最終的にぶつかるという場面になったら、優先順位がどうのこうのと言うことにはあるでしょうが、通常の場合は小型で機敏な動きが出来る船舶があらかじめ衝突コースを交わして航行するのが普通ではないかと思います。
このときに後方乱気流という条件が絡んでくるのではないかと思います。
自分は船を操縦した経験も資格もありませんが、小さな漁船が巨大船と行き違うとき、進路を譲って後方に回るということは、かなり危険ではないかと考えます。巨大船の後方乱気流をまともに受ける可能性があるからです。
すこしきわどくても前方を横切ろうとする操船の仕方をするのも当然ではないかと思います。
後方へ回避すれば はるかかなたまで後方乱気流を回避して遠回りしなければならなかったでしょう。
夜間 月明かりがないときなどは、船の存在は灯火しか見えないことも普通ではないでしょうか。
レーダー以外で目視によって相手船との接近率を判断して、横切ることは結構な技術がいるでしょう。
この判断操作を今回の漁船は誤ったのではないでしょうか。
また、このような、航行の仕方を通常はしているのではないでしょうか。今回事故になってイージス艦が自動操舵のままであったとか、回避操作をしなかったなどと、一方的に難癖をつけられているような報道ばかりです。
超大型船が漁船群を右に左に回避しながら進んだら、小さな船舶はどっちへ回避していいかわからなくてかえって危険でしょう。
空の場合も夜間の要撃訓練で、接近していく目標機にそのままぶつかって事故になった例は1回や2回ではありません。同期生も殉職しています。
航空の場合も優先順位 など 決まってはいますが、それにこだわらず、先に見つけたほうがまず、衝突コースからはずすように旋回なり上昇降下しています。
それは優先順位は相手も自分を視認している場合だけしか成り立ちません。自分が優先するからとまっすぐに進んでぶつかっても誰もほめてくれませんし、そのときには命がないでしょう。
まずコリジョンコースからはずすこと、相手から目を離さないこと、いつでも回避できる体制をとること、空も海の同じかもしれません。
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