【ローマ犬飼直幸】世界的な食糧価格高騰への対応などを協議する「食糧サミット」が3日午前(日本時間同日午後)、ローマで開会した。福田康夫首相は開会式後に演説し、政府が保有する輸入米30万トン以上の放出や、途上国の食糧増産のために約5000万ドル(約52億円)の緊急追加支援策を表明。「7月の北海道洞爺湖サミットで未来への安心を与える力強いメッセージを共同で発出する」と強調した。
首相は食糧価格高騰の一因であるトウモロコシなどを使うバイオ燃料に懸念を示し、廃棄物などを使う第2世代バイオ燃料の研究、実用化を急ぐ必要性を訴えた。
穀物市場に投機マネーが流入していることには「監視する強い政治的意思を示し、何らかのメカニズム構築を検討すべきだ」と呼びかけ、食糧輸出国の輸出規制にも自粛を求めた。また、食糧問題の中長期的解決には「各国の農業生産強化が重要」と指摘。「世界最大の食糧輸入国の日本も自給率向上を通じ、世界の食糧需給の安定化に努める」と決意を示した。
日本政府は7月までの約1億ドルの緊急支援を発表しており、追加支援によって支援総額は計約1億5000万ドルとなる。
食糧サミットは国連食糧農業機関(FAO)主催で、約150カ国が参加。福田首相のほか、国連の潘基文(バンギムン)事務総長や60〜70カ国首脳が出席する。食糧危機の打開に向けて幅広い分野で協議。5日に途上国への緊急援助などを盛り込んだ宣言を採択して閉幕する。
◆食糧サミットでの首相演説骨子◆
・緊急対応として政府米30万トン以上の放出と約5000万ドルの食糧増産支援
・中長期的解決には各国の農業生産強化が重要
・食糧輸出国の輸出規制に自粛要求
・食用作物を原料にしない第2世代バイオ燃料の実用化が急務
・北海道洞爺湖サミットで安心を与えるメッセージを共同発出
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