退職金の一部を株式や投資信託など投資型金融商品で運用している人が、退職者の約4割に上っていることが米投資会社フィデリティ投信が行った調査で分かった。退職後の生活で「金銭面に不安を感じる」と答えた人は56.8%に上っており、将来への不安から資産を増やす手段として金融商品への投資を選択しているようだ。
調査結果によると、退職金を投信などで運用している人は39.2%で、そのうち60.7%が米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)による金融市場の混乱などで評価損が発生していると回答した。
しかし、評価損が出た人のうち、「投資商品を保有し続けたい」(79.4%)と「買い増したい」(2.1%)の合計は8割を超え、「保有を減らしたい、売却したい」(11.8%)を大きく上回った。フィデリティ投信は「退職者は短期的な利益より中長期の視点で運用に取り組んでいる」と分析している。
調査は4月25~30日、定年退職し退職金を受け取った60~65歳の男女を対象にインターネットで行い、1000人(平均年齢62歳)の有効回答を得た。【野原大輔】
毎日新聞 2008年6月2日 20時43分