リタリン:東京クリニック、年百万錠処方…元院長書類送検

 依存性の高い向精神薬「リタリン」の乱用問題をめぐり、医師法違反(無資格医業)容疑で家宅捜索を受けた精神科「東京クリニック」(東京都新宿区)が、昨年1年間に全国の医療機関で最多の約100万錠に上るリタリンを処方していたことが、関係者の話で分かった。警視庁生活環境課は5日、ずさんな医療行為を繰り返していたとして、伊澤純元院長(38)=川崎市宮前区=を同容疑(無診察治療)で東京地検に書類送検した。【精神医療取材班】

 リタリンの適応症は重症のうつ病とナルコレプシー(睡眠障害)に限定されていたが、適応症のない患者に安易に処方するケースが社会問題化し、今年1月からはうつ病には処方できなくなった。

 同クリニックの処方量について、専門家は「常識では考えられない異常な量」と指摘し、国や製薬業界の責任も問われそうだ。

 調べでは、伊澤元院長は昨年4月4日と5月23日の計6回、診察しないまま患者6人に、医師の資格のない従業員に処方せんを書かせてリタリンなどを交付した疑い。

伊澤元院長は両日、カウンセリングのためクリニックにいなかった。容疑を認めているという。生活環境課は、元院長が開院当初から無診察でリタリンなどを処方していたとみている。

 関係者によると、東京クリニックが処方したリタリンは約102万錠。国内の医療機関では突出して多い。約37万錠で2番目に多かった精神科「京成江戸川クリニック」(江戸川区、廃院)元院長の小倉暢夫医師(68)は同容疑で逮捕・起訴され、懲役1年、執行猶予3年の1審判決が確定している。

 東京クリニックは04年3月、新宿・歌舞伎町に開院。「リタリンを初診で処方してくれる」などとインターネットで有名になる一方で、患者や家族からは「安易な処方で薬物依存になった」との苦情が出ていた。

 伊澤元院長は患者を殴って負傷させたとして、昨年2月に傷害罪で起訴され、有罪が確定。同10月15日付で厚生労働省から医業停止2年の処分を受けた。

毎日新聞 2008年6月5日 15時00分(最終更新 6月5日 15時00分)

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