【バンコク藤田悟】「すべてを失った。これからどうすればいいのか」--。大型サイクロンの直撃を受けたミャンマーの最大都市ヤンゴンでは5日、家を破壊された多数の被災者が安全な場所や食糧、飲み水を求め、ひざまでつかる泥水の中をさまよい歩いた。発表では死者が1万人を超えており、市民の不安は募るばかりだ。
ヤンゴン在住の男性は毎日新聞の電話取材に「電気と水道が完全に止まっている。大半の商店はまだ閉まったままで、市場の食品は軒並み2倍以上に高騰している。この数十年なかったひどい災害だ」と語った。
AFP通信によると、生後2カ月の娘を抱いた38歳の男性は、暴風で倒れた大木で家を破壊され「娘の粉ミルクもない。配給の米や塩も足りない」と嘆いた。
市内の家々の多くは風速50メートルを超す暴風で屋根を吹き飛ばされ、水道供給も停止した。このため水を求めて大きな容器を持った人々が井戸に群がっている。
ミャンマー国内の通信、交通網も寸断され、被害が甚大とされるアンダマン海の島しょ部やイラワジ川河口域の状況は、はっきりしない。低地部を高さ約4メートルの高波が襲ったとされ、国際赤十字の職員は「村ごと破壊された場所もあるようだ」と話した。国際機関や周辺諸国は食糧や飲料水、医薬品の配給など、支援を本格化させている。
一方、タイを拠点とする人権団体「政治犯支援連合」は、ヤンゴンのインセイン刑務所で、サイクロン襲来を機に受刑者が暴動状態となり、当局の発砲で36人が死亡、70人が負傷したと発表した。同刑務所には多くの政治犯が収容されている。
また、バンコクで発行されているミャンマーの新聞の編集者はCNNに対し「被災者らは軍事政権による救援活動の遅れに怒りの声を上げている」と説明した。被災をきっかけとした混乱が懸念されている。
毎日新聞 2008年5月6日 1時34分(最終更新 5月6日 2時42分)
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