【北京・浦松丈二】中国で民主化を求める学生らを軍が鎮圧した天安門事件(89年)から4日でまる19年。この日、北京の天安門広場では北京五輪を狙ったテロなどに備え厳戒態勢が敷かれた。中国政府は、事件を「反革命暴乱」と位置づけた評価を変えず、政権に批判的な団体への強硬姿勢も変わらないままだ。
関係者によると、事件の犠牲者の遺族8人が3日深夜、北京市内の事件現場でひそかに追悼式を営んだ。中国政府は公式の追悼を認めていない。遺族らは「天安門の母」と題したホームページを開き、中国政府に評価の見直しを迫っている。
中国では3月、ラサでチベット人による暴動が起き武力鎮圧された。89年当時も天安門事件に先だって、ラサで僧侶らの抗議運動が起き戒厳令が敷かれた。北京の外交筋は「中国の政治・治安状況は天安門事件の89年当時とよく似てきた」と分析している。
毎日新聞 2008年6月5日 東京朝刊