「日本人と認めてほしい」。少女たちの思いが、ようやく叶いました。日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれた10人の子どもが日本国籍を求めた裁判で、最高裁は、国籍を認めないのは憲法違反だとする初めての判断を示しました。
手をたたき、最高裁から出てきた少女。タピル・マサミちゃん(10)。マサミちゃんは日本で生まれ育ちました。今、小学5年生。国籍はフィリピン。でも、妹の直美ちゃんの国籍は日本。同じ父親と母親から生まれたのに、2人のパスポートは違う色。
「妹が日本人で、私は外国人なんだ」(マサミちゃん)
理由は、国籍法の規定です。母親が日本人の場合、どんな場合でも子どもは日本国籍が取得できます。しかし母親が外国籍だった場合、両親が結婚していなければ子どもは日本国籍が取れないのです。
例外的に日本国籍が認められるのは、出産前に父親が認知をすること。妹の直美ちゃんは、この方法で取得しましたが、こうした日本の制度を知らなかった時に生まれたマサミちゃんは、日本国籍が認められなかったのです。
「何で名字が違うの?」(マサミちゃん)
「国籍が違うからって言ってるでしょ」(母親)
「国籍が違うって意味分からない」(マサミちゃん)
ずっと日本人だと思ってきたマサミちゃん。妹と国籍が違う理由が理解できません。専門家によれば、父親が日本人なのに日本国籍が取得できない子どもは、国内だけで数万人に上ると言います。
「ケンカするとき、名前呼ばれるとき、外国人って言われるから嫌だ。だから妹と同じ国籍になりたい」(マサミちゃん)
日本国籍を認めてほしい。3年前、マサミちゃんは同じ立場の子どもたちと裁判を起こしました。
「妹と同じ国籍だったらいいです。もし変えられたらうれしいです」(マサミちゃん)
争点は、両親の結婚を条件とする国籍法の規定が憲法違反かどうかです。一審は勝訴、しかし、控訴審は敗訴。そして4日、最高裁が結論を出しました。
最高裁は、「両親の結婚を条件とした規定は、24年前に定められた当時は合理的な根拠があったが、その後の家族生活や親子関係の変化などを考慮すれば、もはや合理性はない」として、憲法違反とする初判断を示しました。
「ありがとうございました。『私は日本人です』と言いたいです」(マサミちゃん)
その上で、子どもたちに日本国籍を認める判決を言い渡しました。
鳩山法務大臣は、今回の判決を受けて、「国の主張が認められず、国籍法の規定が憲法違反とされたことは厳粛に受け止めている。今後の対応については、判決内容を十分に検討した上で適切に対応したいと考えている」とコメントしています。(04日17:54)