町村官房長官の「減反見直し」発言が波紋を呼んでいる。飢餓の国があるのにコメを作らないのはもったいない、日本の食料自給率を上げることにもなるというのが発言の趣旨である 自民党内や農水省から猛反発が起きた。米価調整のための減反を止めればコメは暴落し農家は大混乱する。長期的に正しいが短期的には誤解を与える暴論で、農政は成り立たなくなる、等々である 突然何を言い出すのかと思わせた長官発言だが、食料サミットの福田首相演説で納得した。「農業生産を強化し、日本は備蓄米を放出する」とブチあげたのだった。町村発言の意図はミエミエである 地球規模の食糧問題が政界を振り回し、はからずも腰の定まらない農政を露呈させた。その一方で「コメ」にこだわり「稲作」に執着する日本人の感覚が小麦主体の国々にどこまで理解してもらえるか疑問にも思わぬでもない 「貧乏人は麦を食え」といった人がいた。食糧難のころの話である。今、飽食の時代にコメが余り、麦が不足という。そんなバカげた事態を招き、慌てふためくこと自体に農政の無策を痛感する。
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