県は、公共交通機関の積極利用に取り組む企業を認定する制度を始めた。路線の維持と利便性向上や交通渋滞緩和、排ガス削減を狙う。認定されると、県とJR西日本和歌山支社から鉄道・バスの乗車カードが贈られる。県総合交通政策課は「車で駅まで行くといった工夫をし、積極的に取り組んでもらえれば」としている。
同課によると、県内の鉄道の乗降客数は75年度の1億2462万人がピーク。06年度は7732万人まで減り、この間、野上電気鉄道や有田鉄道が廃線となった。バス利用者も71年度の7136万人から06年度は1508万人に激減した。
同課は「一人一台という車社会の影響。利用者が増えないと利便性も向上しない。なくなってからでは遅く、行政としても取り組みが必要」とする。同様の制度は愛媛、鳥取両県で行われているが副賞付きは例がないという。県からは5万円分、JRは人数に応じ上限5万円分の乗車カードを贈る。
県内に事業所などがある企業などが対象。募集は8月8日まで。マイカー通勤の従業員のうち、10%以上かつ10人以上が募集期間内に公共交通の利用を伴う通勤に変更▽ノーマイカーデーを月1回以上実施--など4要件を満たさなければならない。問い合わせは同課(073・441・2353)。【最上聡】
毎日新聞 2008年5月20日 地方版