中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 愛知 > 6月5日の記事一覧 > 記事

ここから本文

【愛知】

医師数、県内で倍以上の格差 「地域づくり白書」で判明

2008年6月5日

 県内2次医療圏ごとの人口10万人当たり医師数は名古屋が256.3人に対し、東三河北部は111.6人で2倍以上の格差があることが「あいちの地域づくり白書」で分かった。県全体では181.0人で全国平均(206人)を下回り、都道府県で36位に。医師確保が喫緊の課題になっていることを浮き彫りにした。

 厚生労働省の二〇〇六年調査を基に県が分析した。入院治療がおおむね満たされる区域である県内十一の二次医療圏のうち、人口十万人当たりの医師数が多いのは尾張東部、名古屋、東三河南部の順。少ないのは尾張中部、東三河北部、海部だが、尾張中部と海部は医療施設が充実している名古屋に近いため、実質的に医師不足が深刻なのは東三河北部(新城市、設楽、東栄町、豊根村)だ。

 人口十万人当たりの医師の配置目安は二百人とされ、三河や知多地域がいずれも下回っているほか、東三河北部は、さらに小児科医や産婦人科・産科の医師も少ない状況だ。

 県内の医療機関の勤務医は一万三千二百八人で、一九九八年から約千六百人増加した半面、産婦人科医と産科医が減っているのも特徴。九八年に比べ〇六年は計三十八人減り五百七十四人、うち病院は七十九人減って三百二十五人だった。当直など激務が続く病院勤務から診療所などに移った表れとみられる。

 県は〇六年度から、医師不足の医療機関に医師を紹介する「ドクターバンク事業」を始めたが、これまでの仲介は十六人。本年度は、卒業後に県内医療機関への勤務を条件にする奨学金制度を新設した。だが、山間地域などの医師不足は今後も深刻さを増すのは必至で、抜本的な対策が求められる。

 (石川浩)

 

この記事を印刷する