4月から始まった後期高齢者医療制度は中央官僚の非常識なネーミングもあって、75歳以上の高齢者から強い反発を招いています。
この制度では「かかりつけ」の医師を位置づけているんですが、医療関係者からも異論が上がっています。
当のお年寄りから皮肉も聞かれる後期高齢者医療制度。
先週から始まった福岡県議会でも議論が続いています。
評判の悪い後期高齢者医療制度の中でも、議会で問題だと指摘されたのが「診療料」です。
後期高齢者医療では1人のお年寄りにかかりつけの医師を決めることができます。
かかりつけ医を決めれば、いろいろな病院で同じような診療を受けさせられたり、それぞれの病院から飲み合わせの悪い薬を服用されたり、といった無駄な診療は回避できます。
このかかりつけ医には、毎月お年寄り1人につき6,000円が診療料として支払われるのです。
しかし、どんな医者でもかかりつけ医になれるわけではありません。
ベッド数19以下の小規模な診療所の医師に限定されていて、普通の規模の病院に勤める医師は除外されています。
今年3月、200以上の民間病院で構成する「福岡県私設病院協会」は診療料に反対する2万5,000人分の署名を、厚生労働大臣に提出しました。
鬼塚医師の診察を受ける別府さんはこう話します。
地域の病院はこれまで、お年寄りのさまざまな面を総合的に治療してきました。
「お年寄りにとって、自分たちこそがかかりつけの医者だ」という強い自負を持っているのです。
一方、制度上は「後期高齢者のかかりつけ医」と想定されている小規模な診療所の医師からも疑問の声は上がっています。
現場の医師たちは口々に不安を訴えます。
後期高齢者医療に導入されたかかりつけ医制度。
現場の医師からの反発やお年寄りの不安の声に、麻生渡知事は「医療を制限するようなものではない」と強調しました。
高齢化社会が進む中、いろいろな病気を抱えるお年寄りを1人のホームドクターが責任を持ってみるという制度には多くの利点もあります。
しかし、その制度が後期高齢者医療に取り入れられた今、総額の抑制が前提とされていて、運用は医療の現実に即していないのではないか。
そんな疑問はぬぐえません。
後期高齢者診療料制度では、急に具合が悪くなった時など6,000円を超えた場合でも、現行では必要な検査であれば受けることができます。
ただ、こういう制度を国が始めた背景には、今後高齢者の医療費を定額制にして抑制したいという思惑があるようで、それが不安を招く原因となっています。