

東京ディズニーランドに出掛けた時も往復の新幹線でグズったので、抱いてデッキに立ち続けた。帰路に新大阪から自宅のある神戸まで乗った在来線にはデッキがないため、子どもをあやしながら通路に立ったが、周囲の人にイヤそうな顔をされた、とも。
「周りに迷惑をかけないようにいくら努力しても、子どもがきかない時もあるんですよね。子育ての大変さ、妻のしんどさを実感しました」
ベビーカーを押して町を歩くと、歩道は段差だらけ。路上に停められた車や自転車の多さにも改めて気づいた。エレベーターのない駅や建物も少なくなく、バリアフリーの必要性を肌で感じることもしょっちゅうだ。
一方で、子どもが歩き始める瞬間に立ち会ったり、前日に喋れなかった単語を次の日に口にしているシーンを見たり。「何物にも変えがたい経験ができた。子どもたちが大きくなったら、『パパは育休を取って、お前たちとべったり一緒にいたんだよ』と言ってやりたい」としみじみ。
では、最後に育休を取ろうかと迷っている男性に一言――と言うと、「法律的に制度はあっても、権利を行使できる職場ばかりではないのが現状でしょうが」と前置きの上、「すべての人にお勧めします」という言葉が返ってきた。
「以前はよく仕事上で後輩に『何でこれくらいのことが出来ないのか』と思ったものでしたが、子育てのおかげで許容範囲が広がったと思う。これまでの自分を見直し、ワクワクした気持ちで仕事に戻れる。『この時期、育児をしていました』というのも一つのキャリアだと僕は思うんです」
| 育児休業はいま |
| 厚生省「女性雇用管理基本調査」(1999年度版)によると、出産した女性のうち56.4%が育児休業を取得したが、男性は0.42%。育児休業取得者の97.6%が女性、2.4%が男性となっている。なお、「育児・介護法」には、育休中に休業前賃金の25%が支給されることや社会保険料を免除されることのほか、休業したことを理由とする解雇の禁止も定められている。 |
|