「卑劣で悪質」都築前総長に有罪
「卑劣で悪質」都築前総長に有罪 06/03 19:17

都築総合学園の前総長のわいせつ事件の裁判です。

学園の女性職員に対する強制わいせつの罪に問われている前総長に対し、福岡地裁は、「学園トップの立場を利用した犯行は卑劣で悪質」として、執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

福岡地裁から中継です。

「自己の欲求を満たすためには、なんら女性のことをかえりみない自己中心的で身勝手な犯行動機には、酌量の余地はない」

学園内で絶大な権力を誇った都築被告の、地位を利用した卑劣なわいせつ行為を裁判長が厳しい言葉で断罪しましたが、都築被告は表情を変えることなく聞き入っていました。

きょうの判決公判で、福岡地裁の林秀文裁判長は、「被告の公判での供述などからは、被害者の精神的苦痛に思いが至っておらず、反省しているとは認めがたい」としました。

そのうえで、「学園トップの立場を利用した犯行は、卑劣で悪質だ」として、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。

学園内で絶大な権力を振るった都築被告が、一連の公判で真摯な反省の態度を見せることはありませんでした。

学園内で絶対的な権力を誇った、都築総合学園の前総長都築泰寿被告。

福岡市に本部を置く都築総合学園は大学や専門学校など、全国で45校を運営する巨大学園グループで、天神の老舗デパート岩田屋の旧本館と旧新館を買い取ったことでも知られています。

その学園トップが起こした強制わいせつ事件。

都築被告は、エレベーター内や学園所有のバスの中で、学園の女性職員の体を無理矢理触ったとして4回にわたって逮捕され、3つの事件で起訴されました。

しかし、先月22日の初公判では、起訴事実を認め謝罪する一方で、「冗談のつもりだった」と述べるなど、真摯な反省の態度からは程遠いものでした。

また、初公判では、都築被告から総長を引き継いだ妻の都築仁子総長も、事件を軽視したような受け答えで裁判長からたしなめられる一幕もありました。

都築被告は、起訴された3件以外にも、別の女性に対する強制わいせつ容疑で逮捕されましたが、被害者と500万円で示談。

さらに起訴された3件についても、1千万円以上で示談しています。

先月の初公判で、真摯な反省の態度とは言いがたい言葉を述べた都築被告。

きょうの判決で、裁判長は、「被害者への気持ちは『少しある』と言うなど、被害者の精神的苦痛に思いが至っておらず、反省しているとは認めがたい」としました。

また裁判長は、女性職員への日常的な性的嫌がらせを挙げ、「強制わいせつの犯罪傾向はかなり根深く再犯が憂慮される」とまで述べました。

しかし、被害者全員と示談が成立していることや、高齢であること、そして学園の経営から退いていることなどが考慮され、執行猶予付きの判決となりました。

「昨夜はよく眠れなかった」と弁護人に語ったという都築被告。

裁判長が読み上げる判決文に、表情を変えることなく耳を傾けた都築被告は、何度か自らを納得させるかのように頷き、傍聴席に見回してから法廷を後にしました。

都築被告側は控訴しない方針です。

判決を受けて都築総合学園では、「判決を厳しく受け止めている。学園としては再発防止に取り組んでおり、二度とこのようなことが起きないようにしたい。」とコメントしています。