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貿易収支が赤字で商品収支が黒字となる理由

【場面1】4月30日、知識経済部の輸出入課。2億ドル(約210億円)を超える液化天然ガス(LNG)船の輸出が5月以降に延期されたという悲報に職員がうなだれている。結局4月の貿易収支は1億9500万ドル(約205億円)の赤字だった。

【場面2】5月30日、韓国銀行による4月の国際収支発表会見場。4月の輸出が29%伸び、商品収支の黒字は16億5000万ドル(約1730億円)に達した。韓銀関係者は「輸出が思ったより好調だ」と話した。

 同じ輸出入統計なのに、貿易収支は赤字で商品収支は黒字となるのはなぜか。貿易収支は知識経済部が、商品収支は韓国銀行がそれぞれ発表する。貿易収支は5カ月連続で赤字を記録した後、5月に10億ドル(約1050億円)の黒字に転換した。

 理由は算出方式の違いにある。貿易収支は国境(関税境界)が基準だ。例えば、船舶を建造した後、それを他国に送れば韓国を離れた時点で輸出にカウントされる。知識経済部が2億ドルの船舶輸出がいつになるかに注目していた理由はそこにある。

 一方、商品収支は所有権が移転したかどうかを基準とする。船舶が他国に引き渡されたとしても所有権が移転されなければ輸出されたことにならない。

 商品収支はもともと貿易収支より良い数字が出る。輸出の際には破損リスクなどをカバーするため保険に加入し、運賃を支払わなければならない。貿易収支は商品価格に保険料や運賃を合算して算出するが、商品収支は保険料や運賃を除いた商品価格だけで算出する。1カ月に保険料と運賃だけで負担は10億ドルに達する。

 韓国銀行関係者は「貿易収支はニュース速報、商品収支は1カ月後に出る解説記事のようなものだ。商品収支とサービス収支を合わせた国際収支を見ないと正確な経済状況は分からない」と指摘した。

趙義俊(チョ・ウィジュン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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