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ネット規制よりもユーザーによる制裁を

ネット規制法案は、さいわい警察が介入しない形に収まったようだ。民主党の良識に感謝したい。他方、finalvent氏も指摘するように、ブログの「死ね」というコメントを苦にして女子高生が自殺するという事件が起きた。私も「死ねばいいのに」というタグを執拗につけてくるbuyobuyoと名乗る変質者がいるので、はてなに抗議したところ、「本来の意味から申しますと好ましい表現ではありませんが、実際には、慣用句的に使われている場合も多くみられる」ので何の対応もしないという回答が来た。しかしbuyobuyoはその後も同様のコメントを繰り返し、12/8には
こういう自称「厳しい」連中には激しい殺意が沸く。
と私を殺害する意図を表明するコメントがあったので、近藤淳也社長に抗議し、「せめてdiggのような評価システムで非常識なコメントを隠すなど改善できないのか」と質問したところ、
弊社による削除要請等ではなく、ユーザーの力をお借りして悪質な情報が多くの目に触れないような対策ができないか、といったシステム的な対応についても検討を始めております。ご指摘いただいたユーザーのブックマークでは、その他にも侮辱的な表現が執拗に書き込まれている様子もあり、こうした執拗な行為に対して何らかの対策ができないか、という事も検討しています。
という返事があった。しかしその後、はてなスタッフから「削除対象とは判断いたしませんでした」という通告があった。システムを設計している伊藤直也氏は、
「死ねばいいのに」って書いてるユーザーのアカウントを削除するとか、「これはひどい」というタグを付けられなくするとか、あるいはそういうタグやコメントを見られなくするとか、システム的な対応をしてしまうと、対応全部がアドホック的になっていっちゃう。そうなると、多分はてなブックマークが本来持っている価値まで全部失われてしまうと思うんですよね。
と開き直っている。要するに、彼が勝手に決めた「はてなブックマークの価値」なるものを守るためには、他人がどんな迷惑をしようと知ったことじゃないわけだ。こういう連中が、高市法案のような官憲の介入の口実になり、果ては自殺にまで至ったのだ。今後も、こういう不幸な事件が発生する可能性があるが、はてなの経営陣も技術陣も対応する気はない。こういう場合、ゲーム理論でよく知られている制裁は、彼らのreputationを落とし、市場からたたき出すことだ。この場合は、次のようなメッセージを出すことだろう:
はてなのスポンサー企業への警告:はてなに広告を出すと、「死ね」とか「殺意」といったキーワードに関連する企業として貴社の広告が表示されるリスクがあります。その結果、自殺などの事件が起こる可能性もあります。このような反社会的な表現を意図的に放置する、はてなへの広告の出稿を停止することが、貴社の社会的責任です。
追記:こうした問題について、9日にICPFセミナーで議論する。
コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
はてなの主要広告主 (i004099)
2008-06-03 21:32:53
http://hatenasales.g.hatena.ne.jp/

「はてな広告媒体資料 : 広告商品のご案内」の
P23に主要広告主が掲載されています。
 
 
 
Unknown (はてなと梅田氏)
2008-06-03 22:04:38
この両者の勘違いしたオプティミズム関係がネットを醜いものにしている気がします。なんで、日本人がアメリカ人(しかもシリコンバレー限定)と同一化しなくてはいけないのでしょうか。
 
 
 
良識によるコンテンツの浄化 (booboowambo)
2008-06-03 22:20:35
池田さんの見解には賛同できるところが多いのですが、今回のエントリーは、正直「らしからぬ」ものを感じます。
高度に民主化されてきている最近のネット社会とアーキテクチャは、自浄作用を持っていると考えます。システム提供者によるアドホックなコンテンツ規制や削除対応は、それを鈍らせることになるのではないでしょうか。

例えばWikipediaは、完全無欠の知識の体系ではありませんが、少なくともバランスを欠いたり、独善的な編集、荒らしの類は、同じユーザーの手によって議論され、排除されます。それを可能にしているのは、明文化されたサイト運営ポリシーと、それを参照して行動するユーザーの良識です。
タグにしても、個別のタグの信頼性というのは時間が経てば自ずと決まってくる仕組みが最初から実装されています。ニコニコ動画でよく使われる「才能の無駄遣い」というタグは、それを貼られるコンテンツに一定のクオリティーを求めるようになってきていますし、「死ねばいいのに」というタグが、文字通りのコンテンツではないというように、ネットユーザーの判断基準が収斂されていくこともあると思います。少なくとも僕は「死ねばいいのに」と言うタグを見て、バカなものを貼るやつがいるなぁとしか感じません。
運営側の過度な個別関与は、こうした行為形成を阻害し、結果として歪な情報が氾濫するだけです。

青少年を対象としたコンテンツフィルタリングは、子供はコンピューティングに関しては大人より遙かに賢いですので、簡単に抜け道を開発するでしょう。ただ、ある程度敷居を上げるというのは賛成です。僕らの時代、女性器写真へのアクセスのためには、並々ならぬ情熱と努力無しに成し遂げられなかったわけですから。。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2008-06-03 22:30:37
池田先生もはてなブックマークを見る必要は無いと思います。
今はてなを覗いてきましたけどけど、やっぱり殆ど2ちゃんねると変わらない状況ですし、彼らの言葉に一喜一憂していたら体力を浪費するだけです。

池田先生が仰っていることが正しいかは置いておいて、いくらなんでもあそこまで先生を貶すのはすごく気分が悪くなった。
 
 
 
はてなの対応に?(ハテナ) (GNJ_G頑張ろう、N日本の、J人材!)
2008-06-03 22:35:25
一度、「試験的に」でも良いから削除システムの構築と運営をやってみればいいのに。これだけ社会問題になっているのに、何の自浄努力も工夫も感じられない。なぜ、そんなに頑なになるんだろう。。。
 
 
 
いつものイナゴです (田中健)
2008-06-03 22:38:13
まあ、それらしい文句を仲間内で語るだけで
大勢には何ら影響力が無いのを歯がゆく思っているのでしょう

とりあえず上でも言われますが、イヤなら見なきゃいいじゃん、という事だと思います
 
 
 
Unknown (ゆきち)
2008-06-03 22:43:33
> はてなと梅田氏さん
CGMの世界がオプティミスティックにいられるのは、「利用者が不快と思うものはそれを排除する」という考えがあるからです。それを支えているのが、diggやスラッシュドット、YouTubeのコメント欄にあるようなモデレーションシステムです。スラド日本語版も「モデレーションが機能していない」といわれるけど、明らさまに無意味なものは、モデレーションで落とされています。

ただ、褒める文化が無いとモデレーションを導入しても良い方向に働かない可能性もあって、そういう意味で、はてなスターの存在は賢明な実装だと思います。

良識というよりも、その良識をどういう風にシステムが支えていくかが勘所なのだと思います。
 
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