大阪府の橋下徹知事は2日、救急隊が空きベッドのある病院を的確に探せる新情報システムの配備など救急医療体制の再構築に、今年度本格予算で約6億円を盛り込む方針を固めた。病院に空きベッドなどの最新情報を提供させるためのインセンティブ制度や、救急隊が周辺の病院へ一斉に応答を求める「投網方式」も導入する。橋下知事は、財政再建のため大半の分野で予算削減を図るが、搬送患者の死亡などが問題化する中、救急医療の立て直しを重点政策とする考えだ。
システム整備・運営には4億6900万円を計上。府内約260の救急機関に消防本部と結ぶタッチパネル式の端末を8月に導入する方針。現状は打ち込み式で、府は1日2回以上の更新を求めているが、多忙な病院スタッフの情報更新が遅れる傾向があった。入力項目も簡素化し、1日8回の更新を求める。最新情報は、救急隊員が携帯電話で確認できるようにする。
情報更新を促すため、1カ月に200回以上更新すると、病院に現金を供与する仕組みも作る。府は現在、1回50円を軸に検討中、200回で1万円になる。さらに受け皿が小さい小児科などが受け入れた場合は、上乗せ加算する。
患者を抱えた救急隊が次々と病院に受け入れを断られることを避けるため、5病院に断られた場合は周辺の2次救急機関に投網のように一斉に受け入れを要請する方式を導入。病院側の端末は、反応しなければ音が鳴り続けるような仕組みを検討している。
3次救急内の連携も強化する。コーディネーターの医師を府医師会内に置き、府全域の状況を把握させ、ネットワーク化を図る。困難な搬送事案への素早い対応も促進する。
【長谷川豊】
毎日新聞 2008年6月3日 大阪朝刊