昨年4月から産科医師不足のため分娩を取りやめていた茅野市玉川の組合立諏訪中央病院(浜口実院長)は、6月から産婦人科を再開し分娩の受け入れを始めた。諏訪地方でのお産の受け入れに危機感が持たれる中、安心して出産できる地域を支える一つの柱が再建された。
新しく同科部長として着任した甲藤一男医師(58)は、2日の同科の朝の引き継ぎで職員らに「お母さん、赤ちゃんに優しい、お産して良かったといわれる産科にしたい」と呼び掛けた。
引き継ぎでは浜口院長は「病院のスタッフの頑張りが大事」、田島由美子看護部長は「赤ちゃんの泣き声が聞けるのがうれしい。地域、職員もお産のできる病院に」、吉沢徹統括診療部長は「お産はチームが大切」と、それぞれ言葉を掛けた。
同院では、内科医師として勤めていた吉沢統括診療部長が産科を担当する。さらに一線を退いていた甲藤部長を招くことで常勤医師2人態勢を確保し、今回の産婦人科の再開にこぎつけた。
甲藤部長は取材に対し、今回の産科医復帰は信大医局後輩に当たる吉沢統括診療部長からの強い働き掛けがあったことが大きいとし、「産科は、人が生まれる感動的な場面に立ち会えるやりがいのある仕事。今後は後継者を育てることも使命として、産科の素晴しさを研修医にも伝えたい」と話した。吉沢統括診療部長は再開に当たって「満足してもらえる分娩に対応できるようにしたい」と述べた。
同院では小児科を併設し手術設備も整えていることから、危険度の高いお産についての対応も期待が寄せられる。
現在、同院での分娩予約は希望も含めて7月以降に10件ほどが予定されている。以前は年間に290―300件程度の分娩を扱っていた。同科初日となる平日診療の始まった2日には、妊娠中の女性が外来で診察を受けたという。