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2008年6月3日

◎北京五輪に2選手 ウエイト王国に期待膨らむ

 北京五輪のウエイトリフティング日本代表に石川県勢二人が選ばれたことは、金沢市が 同競技で国の「聖地」事業に選ばれていることと併せ、石川が自他ともに認める「ウエイトリフティング王国」として飛躍する大きな期待感を抱かせる。他の競技ですでに五輪切符を手にしている県勢とともに、県民挙げて声援を送りたい。

 石川のウエイトリフティング界にとっては初めての五輪選手の誕生である。石川が「飛 び込み王国」と呼ばれるのも過去に何人もの五輪選手を輩出しているからであり、世界に通用する選手を要することはその地域の競技レベルの高さの象徴となる。山は高いほど裾野が広いように、トップ選手の実力が高まれば、競技人口拡大や全体のレベル底上げにもつながる。とりわけ、世界ナンバーワンを決める五輪の檜舞台はウエイトリフティングへの大きな関心を促すことは間違いないだろう。

 北京五輪選考の最終大会として金沢市内で四月に開催されたアジアウエイトリフティン グ選手権では、五輪出場を決めた新谷義人(金沢学院大職員)、齋藤里香(金沢学院東高教諭)両選手をはじめ、県勢の活躍が目を引き、層の厚さを感じさせた。国際大会を通して運営スタッフも活躍し、大会を支えるスポーツボランティアが育ってきたことも心強い。会場に足を運んでその魅力に触れ、ファンになった人もいることだろう。

 競技のファンや理解者が増えてこそ石川は真の意味で「ウエイトリフティング王国」と 言え、北京五輪はその呼称を定着させる絶好の機会である。

 総務、文部科学省が小中高校生のスポーツ全国大会の継続開催を支援する「スポーツ拠 点づくり推進事業」で、金沢市はウエイトリフティング高校選抜大会の継続開催地となっている。この事業の狙いは、野球の甲子園、ラグビーの花園などと同様、青少年があこがれる聖地をつくることである。五輪選手の誕生は、その地域が単なる大会の開催場所として認知されるだけでなく、競技レベルにおいても若い選手たちの「あこがれの地」になることを意味する。

◎上海便が事実上減便 背景に中国側の現実主義

 小松―上海便が六月から事実上減便になったのは、週四便化以降、搭乗率が50%を割 り込んで採算性が悪化したことと無縁ではなかろう。四川の大地震で当分は利用者が増えぬことを見越して、機体をより採算性のよい路線に投入したいと考えたのではないか。航空会社に限らず、中国という国は徹頭徹尾、現実主義的な対応をしてくることを肝に銘じておきたい。

 小松―上海便を運航している中国東方航空(上海)は、三月末に週三便から週四便にし たばかりだが、四月は一便、五月は四便が欠航した。六、七月はさらに増えて十便以上が欠航するという。欠航の理由について、中国東方航空は「機材繰りのため」と言うだけである。増便どころか事実上の減便であり、八月以降に四便に戻るのかどうかもはっきりしない。

 ダイヤ改正とは無関係の時期に、定期便がこれほど多く欠航するなど、日本の航空会社 ではとても考えられない。四川の大地震や中国の食に対する不信感の高まりなどのマイナス要因に加え、北京オリンピックという国家的事業が影響を及ぼしているのかもしれないが、そうした事情を勘案しても説明不足は否めず、残念というほかない。

 突然のダイヤ変更は、中国東方航空に限ったことではなく、富山―大連便を運航する中 国南方航空(広州)も同じである。今年三月末から週四便に増便された富山―大連便は、七月から三便に逆戻りすることになった。このほか福岡―広州も減便に、北九州―上海―広州便は運休になっている。

 上海便のダイヤが猫の目のように変わると、迷惑をこうむるのは乗客の大半を占める日 本人だ。実際、小松から出張したサラリーマンが、帰りの便が突然欠航になって帰れなくなるケースや、観光ツアーの日程が大幅変更を余儀なくされる事態が起きている。こんな事態が長引くようなら、利用者は小松―上海便を回避し、便数の多い関空や中部空港などを利用しようとするだろう。そうなると路線自体がじり貧に落ちる可能性も否定できない。


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