「イカなのに8本足?」−。鳥取県立博物館は14日、深海性で8本足の「ヤツデイカ」(ヤツデイカ科)が兵庫県新温泉町沖で捕獲されたと発表した。日本海側での捕獲はこれまでに例がなく、日本近海でも完全な形で発見されるのは初めてとみられる。
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新温泉町沖で捕獲された八本足のヤツデイカ(鳥取県立博物館提供)
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同館によると、見つかったヤツデイカは、胴長26.8センチ、ひれ幅23.5センチ、体重718.2グラムの雌。伊笹岬沖の水深193メートルでホタルイカ底引き網にかかっていたのを地元の漁師が12日に発見し、13日に山陰海岸学習館(岩美町牧谷)に連絡した。
大きく幅の広いひれや半寒天質の体、かぎ状の吸盤、発光器の位置などの特徴から、イカに詳しい同館の和田年史学芸員補がヤツデイカと確認した。
ヤツデイカは成長途中に2本の触腕が切れるため8本足になる特性があり、東南アジアからインド洋にかけての南方の海に生息するとされる。日本近海では三陸沖や沖ノ鳥島などで捕獲されているが、マッコウクジラなどの胃から得られたものが多く、完全な標本は珍しいという。
発見されたヤツデイカは産卵間近の状態だったことから、和田学芸員補は「もともと日本海沖にも生息しているのでは」と予測。
ホルマリン漬けのヤツデイカの標本は17日から山陰海岸学習館に展示される。