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赤城オートキャンプ場から車を走らせ、最初に入った温泉「御宿総本家」。1689年の創業以来変わらぬ素朴な湯宿である。
赤城温泉は赤城山の山中にある赤城温泉郷のひとつで、ドコモ以外の携帯は圏外である。もっとも下に位置する忠治温泉から、さらに山道を登ったところにある。
最後の一本道はすれ違いが不可能なほどの狭い道になっており、その行き止まりのこの「御宿総本家」が建っている。 |
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玄関の引き戸を開け、中に入る。
「ごめんください」と声を掛けても、誰も出てこない。フロントのところにぺろんと垂れた貼り紙に、「老夫婦がフロントをやってるからすぐに出て行かれない、何度か大声で呼んでください」みたいな断り書きが書いてある。
どんなに声を張り上げても出てこないときに備えてか、湯銭を置くための壷も用意されてある。
幸い間もなく年老いた女性が現れ、入浴料500円を支払って中に入れてもらうことができた。
入ってすぐのところに堂々たる甲冑が置かれ、とても和風で格調高い雰囲気。だが廊下を進んでいくと、アジアン・テイストな置物やアフリカンチックなお面などがびっちりと飾られていて、なんだかとっても怪しげな雰囲気だ。
バリ島の神様みたいな木彫りの彫像とか、顔がやたら長いアフリカ人っぽいお面とか、とにかくいろんな国の彫刻やお面が揃っている。
集めたご主人は相当なお面マニアであろう。国籍を問わず「顔」にこだわって集めまくった根性はすごい。
まあ、中にはこういう↑妙なものもチン列されているが。
また、昭和の時代には三笠宮殿下夫妻も湯治に来られたようで、華やかなりし頃を告げる写真も飾られていた。 |
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廊下に所狭しと飾られた民芸品に呆れつつ、浴室に到着した。
これが脱衣所かと思うような狭い場所で服を脱ぐ。岩が剥き出しなった壁際に、昔懐かしい鏡台が置かれている。あとは埃を被った棚と、一応はきれいな籐カゴがあるばかりだ。 |
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ここが自家源泉100%のお風呂。
半円形の小さな湯船に薄茶色のお湯が掛け流しだ。湯船のへりには温泉の析出物が折り重なるように結晶化していた。
それにしてもこのお風呂、本当に三笠宮ご夫妻が入ったのだろうか。
いや、当時としては十分リッチな雰囲気だったのだろう。今では壁際の岩場にコケが生え、観葉植物も枯れかけているのだけど。 |
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お湯は微妙に緑っぽく濁っている。少しきしきしした肌触りで、匂いも味も特になし。
ぬるめで、炭酸ガスが多く含まれているのだそうだ。なんでも、60年前の雨水が地中に溜まり蓄えられたものが源泉なのだとか。
誰もいなかったのでゆっくりと楽しんだが、色の他は特に特徴のないお湯で、やや物足りなさが残った。記憶に残っているのはリビングや廊下の飾り物のことばかりだ。
だが、このあと赤城温泉の他の宿に入ってみてわかったのだが、ここがお湯を薄めていなくて最も良質な温泉だった。 |
どうか入口の雰囲気にひるまず、臆せず入ってもらいたい。ただし、露天風呂は混浴で、開けっぴろげな脱衣所つき。昼間に女性が入るのは厳しいんじゃないだろうか。
この究極の鄙び系が苦手な方は、湯之沢館の方をどうぞ。 |