四川大地震:「パンダ基地」危機 観光客の激減で財政難

おりの中で休む赤ちゃんパンダ。地震直後は食欲がなかったという=成都市の成都パンダ繁育研究基地で2008年5月30日午後1時、神澤龍二撮影
おりの中で休む赤ちゃんパンダ。地震直後は食欲がなかったという=成都市の成都パンダ繁育研究基地で2008年5月30日午後1時、神澤龍二撮影

 【成都(中国四川省)神澤龍二】中国・四川大地震の影響で、ジャイアントパンダの生育研究施設「成都パンダ繁育研究基地」の研究継続が危ぶまれている。観光客の激減により、研究費の確保が難しくなっているからだ。同基地は研究費確保のため、世界中からの募金を呼びかけはじめた。

 同基地は国内のパンダの保護と繁殖の研究を目的に1987年、設立された。野生のパンダを集めて繁殖し、当初の6頭が、現在は67頭に。うち27頭は日本や米国、スペインに貸与している。

 地震発生時、基地内の40頭にけがはなかったが、生後10カ月の赤ちゃんパンダ8頭が木の上からしばらく降りて来ないなど、ショックを受けていたという。

 一方、深刻なのが入園者の激減だ。基地は年間60万人以上訪れる人気スポット。地震発生直前には1日平均約4000人が訪れたが、地震後は1日60人前後に落ち込んだ。

 飼育費用は1頭あたり年間8万元(約120万円)で、研究費用は基地全体で年間1000万元(1億5000万円)を超える。赤字が続くと、研究を中断せざるを得ない可能性もあり、同基地職員の趙寧さん(27)は「世界の人々に募金を呼びかけたい」と話している。

毎日新聞 2008年6月2日 15時00分(最終更新 6月2日 15時00分)

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