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原発再開日程記す資料に反発
中越沖地震で被災し全号機が停止中の東京電力柏崎刈羽原発に関して運転再開時期などが書かれた東電の内部資料とみられる文書が見つかった問題で、文書を入手したNPO法人原子力資料情報室は21日、東京都内で記者会見した。西尾漠・共同代表は「電力会社の視点で検討項目が書かれており、社内資料であることに間違いない」と指摘したが、東電は「コメントを控える」とあいまいな回答に終始。一方、運転再開の行方に関心を寄せる地元では反発や戸惑いの声が上がっている。
文書が入った封筒は17日午前、都内にある同情報室あてに郵送で届いた。文書はA3判の1枚だけで、日付は4月22日。来年1月以降に「順次運転再開」と書かれ、月ごとの地元対応スケジュールのめどが記されている。封筒には都内の消印があった。
東電は「仮に社内資料であったとしても、社内用の文書についてコメントはできない」と説明。運転再開については「言える段階にない」と従来の見解を繰り返した。
一方、地元では不満や批判の声が上がった。同原発反対地元3団体の矢部忠夫柏崎市議は「運転再開の検討は国の評価が必要なのに、文書では東電が自らのペースで進めようとしている姿勢が読み取れる」と反発した。
同原発を住民代表が監視する「透明性を確保する地域の会」の新野良子会長は「東電の内部で運転再開時期を想定するのは不思議ではないが、表に出れば微妙な感情を抱く市民もいる。むしろ東電は再開時期を大枠で示してはどうか」と話した。
県原子力安全対策課によると、東電は文書が社内で作成された可能性を認めた上で、「詳細を調査中」としているという。
泉田裕彦知事は「地元軽視と受け止められ、極めて遺憾だ」と批判。「県技術委員会がまだ安全性を検討している段階で、なぜそんな文書を作るのか。感性を疑う」と不快感を示し、「どういう趣旨で作られたのか、東電に説明を求める」とした。
新潟日報2008年5月21日
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