「銀河パトロール部隊」は必要なのか

自らのコメント欄炎上問題を考えた

石川 達夫(2006-10-27 11:54)
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 先週21日、J-Castニュースが「ココロ・プラネット(ココプラ)」というSNSについて報じていました。そのSNS内には「銀河パトロール部隊」なるものが存在し、個々の参加ユーザーを惑星(プラネット)に見立てて、すべての書き込みを検閲するサービスなのだそうです。(J-Castニュースの記事)

 ココプラの公式サイトによると、「悪口を言わない」というルールを徹底させるべく、「銀河パトロール部隊(は)毎日のように巡回して…あなたにとって不快な発言・コメントは、すぐに削除される」とのことで、このSNSのある程度の集客に繋がりそうです。「自分を必ず認めてくれる暖かい場」、また「ひとりひとりが…『プチ・カリスマ』『プチ・ヒーロー』になるような空間」という謳い文句に魅力を感じる人は確かにいることでしょう。

 とはいえ、「ココプラでブログを書くことで、『人の悪口を絶対に言わない』というルールが世界中に広がり、それによって世界が明るくなれば、とココプラでは考えています」となってくると、これは客寄せのための美辞麗句なのか、それとも本気なのかと少し考えてしまいます。

 なぜならこのSNSが自ら認めている通り、そのような状況を作り出すためには「銀河パトロール部隊」が「毎日のように巡回」して、「不快な発言・コメント(を)すぐに削除」しなければならないからです。

 このことをそのまま敷衍すると、そのようなルールを広げて世界中を明るくするには、世界的な「銀河パトロール部隊」が必要、ということになります。そのような「銀河パトロール部隊」は必要なのでしょうか。そもそも、それは可能なのでしょうか。

 このSNS内に限って言えば、それは他サービスとの差別化のため、また参加ユーザーの強い要望のために必要であり、実際に可能なようです。こSNSでは「神速削除」と言われるぐらいのコメントのスピード削除やユーザーの強制退会が現在行なわれている模様で、このサービスの質には定評があるようです。

 しかしながら、世界的な「銀河パトロール部隊」となると、その実現はまず不可能です。インターネットというインフラの特性上、物理的にまず不可能ということに加え、それ以前にそのような世界的な規制を行ない得る機関がありません。そうした規制を望んでいない人も多数いることでしょう。

 一方で、ちょうどコメント欄炎上問題に端を発する市民記者からの提案記事編集部からの意見の公募の記事を見るにつけ、オーマイニュース内に「銀河パトロール部隊」は必要なのかと考えさせられます。

 と言うのも、実は過日執筆した私の記事「アルファブロガーは成立しているか」のコメント欄が、俗に言う「炎上」のために「閉鎖」されてしまったからです。

 これは非常に残念なことです。なぜなら通常、コメント欄でのやり取りから記者自身が得られるものは多いからです。それは他の記者やオピニオン会員の思考を刺激するだけでなく、外部の読者にとっても、記事の情報を補足強化するものとなり得るからです。

 しかし、この記事の場合、そうはなりませんでした。記事内容というより、私がインタビューした人物がネット界ではよく知られた情宣の達人だったこと、彼が以前奉じていた宗旨が組織犯罪を実行していたことから、その方面の活動の方が注目されてしまいました。

夢が叶うSNSとされる「ココロ・プラネット」。「人の悪口を言わない」というポリシーがはっきり書かれている
 「記事の投稿」と「掲載」という行為自体が、かつて実際にその被害にあったと感じている、または、それを目の当たりにしたと感じているであろう一部の人々の感情に火を付け、油を注いでしまったようです。

 記者のもくろみとしては、「情宣の達人自身がネットを使った情宣の限界を語る」という、興味深い企画でした。ところが、全く正反対に、ネット界への影響力の復活をもくろむ企画と勘違いされ、「記者も編集部も騙されている、言いくるめられている」という反応が殺到しました。

 果ては、記者自身が再三再四そうではないと否定し続けるにもかかわらず、「同じ宗旨の人間だ」との烙印を押されてしまいました。記者本人に対する重大な名誉毀損になりかねないと思った記者自身が編集部に対応を打診し、その結果、最終的にコメント欄の封鎖という残念な結果となってしまったわけです。

 第2回目、第3回目の記事も投稿してあります。ただ、未だに掲載されていないのは、すでにこの宗旨から脱退しているとはっきり表明しているインタビューの相手と記者本人に迷惑がかからないよう配慮してのこと、という編集部からの通知を受け取っています。これには感謝する一方で、記者としては複雑な心境でもあります。

 記者として、今回の「炎上」であらぬ誤解を生んでしまったことを遺憾に思います。

 と同時に、このような場合においては、やはりオーマイニュース内での「銀河パトロール部隊」(つまり編集部)の介入は妥当だと感じざるを得ません。今回のケースではコメント欄における記者の釈明がかえってインタビューの相手の人物への不当な擁護と受け止められ、誤解が解けないままコメント欄が「炎上」してしまったからです。

 ネット全体を管轄するような規模の「銀河パトロール部隊」論は実質がありません。ネット上の発言はどれも等しく、外部の批判・コメント・ウォッチを避けることはできず、ネット全域を取り締まる権限を持った組織も個人も存在しないからです。オーマイニュースの市民記者である私たちも、この事実は直視すべきでしょう。もっとも、それがどうしても耐えられない人々には、最初に取り上げたようなSNSの場もあります。

 その一方で今回の事例は、オーマイニュースのコメント欄において、今後、編集部が記者の要請に応じていわば「銀河パトロール部隊」として行動すべきかどうかの、1つのテストケースとなるに違いありません。

 「仮に、一部の人々から犯罪者扱いをされてしまうような人であっても、その言い分をそのまま載せることにも、ニュースとしての意味はある」とある人が述べていました。記者もそう思います。記者の全く中立的な立場からのインタビュー記事の続報に対して、コメント欄での穏やかな質疑応答を願ってやみません。


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