サイトのロゴ
  サイトマップ  紙面のご案内  会社概要  
文字サイズ
TOP 政治・経済 自然・環境 消費・流通 食の安全 食育・文化 食材 農業技術 就農・経営 JAグループ
北海道  東北  関東  甲信越  東海  北陸  近畿  中国  四国  九州・沖縄       論説   四季(コラム)  一村逸品
 
TOP > 論説 > 記事本文
論説
へき地・離島医療/万全の医師確保対策を
掲載日:2008-6-2 13:08:00

 へき地・離島をはじめとした地域の拠点病院・診療所などで、医師が不足している。診療体制の維持が困難な地域も出ている。医師がいないと、命が脅かされる。どこに住んでいようと必要な医療を受けられるよう、国は医師の確保に万全を期すべきだ。
 医師国家試験に合格したすべての医師は2004年4月から、研修医として2年間の臨床研修が必修になった。これをきっかけに、地方の医師不足はより深刻となった。臨床研修に必要な施設が整った都会の病院を選ぶ研修医が増えたのだ。医師の都会への集中、偏在が最大の問題だ。全国知事会も、実効性のある抜本的な対策を強く求めている。
 厚生労働省と文部科学省などは08年度、緊急医師確保対策を進める。対策では、研修医の集中を是正する検討に入る。医師不足地域では、医学部の入学定員を増やすことを認める。また、医学部の入学定員のうち地元出身者のための入学枠、いわゆる地域枠を拡充することも対策の柱だ。
 日本農業新聞くらし面は5月、全国でいち早く地域医療を担う医師を育成・確保してきた長崎県の取り組みを紹介した。長崎大学は04年9月から、医学部の5年生全員が1週間、離島の病院や診療所などで実習する「離島医療・保健実習」をしている。同県には離島が多く、実習は、離島医療に貢献できる医師を、育成してほしいという地域の切実な声に応えたものだ。
 同大学では、実習前と後に学生の意識がどう変わったかを知るため、アンケートしており、興味深い結果が出ている。04〜06年度に実習した約300人の集計では、「離島医療に興味がありますか」の質問に「ない」という学生が実習前19.4%いたが、実習後は5.9%に減った。「離島で一時的でも勤務してみたいですか」では、「したい」が実習前の55.6%から、実習後に69.3%に増えた。
 全国的に見て、離島やへき地医療を実際に経験したことがある医学生はわずかだろう。将来、そこに行ってみたいと考える人が少ないのは当然だ。だからこそ、学生の時にあらゆる機会をとらえて経験させ、関心を持ってもらうことが重要だ。それが、医師偏在の解消につながる。
 同大学によれば、実習を受けた学生は、離島を研修の場として魅力的と感じ、初期臨床研修医が希望して赴任するようになっているという。
 長崎県は、離島にも十分な医療設備を整えている。赴任した医師に対して、専門医が診断を手助けする遠隔画像診断システムや、休日の取得、研修への出席などに助っ人医師が来る代診制度など、後方支援体制も充実させている。
 せっかく確保した医師に勤務を続けてもらうためには、診療面や生活面での支援の充実が必要だ。国は、へき地・離島勤務を促す対策を一層推進してほしい。

食料有事
購読申し込み
 日 本 農 業 新 聞 |  紙面のご案内 |  広告ガイド |  お問い合わせ |  ご利用にあたって |  個人情報保護方針 |  ▲ページTOPへ
 Copyright(C)2006  THE JAPAN AGRICULTURAL NEWS all rights reserved.