毎日らいふ

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こころとからだの相談室:後期高齢者医療の担当医制度というのは何ですか?

◇質問

 通称、長寿医療制度と呼ばれる後期高齢者医療制度では、自分のかかりつけ医を選ばないといけないのでは……と友人から聞きましたが、そうなのでしょうか。よくわかりませんので、教えてください。

 2008年4月から始まった後期高齢者医療制度は制度開始以来、通知や制度内容が伝わっていないことで大混乱をきたし、また、多くの方の制度への不満や苦情があり、政府は6月半ばまでに見直しをすることになりました。また、保険料についても、その試算に不備な点が見つかり、保険料の軽減をきめ細やかにするとも打ち出しています。

 今回の高齢者医療制度では、厚生労働省は、患者のかかりつけ医を決めることを推奨し、そのための診療報酬もつけました。「患者が1つの医療機関を決められるのか」との疑問に対しては、1つの医療機関だけに限定されるのではなく、今までと同じように医療が受けられると説明しています。かかりつけ医を持つことは、高齢者の心身の全体状況を継続的に管理でき、医療費も削減されるとの思惑があるようです。

 さらに、この制度では、医療関係職種が連携して訪問医療が受けられること、24時間の長時間の訪問看護サービスなどが受けられること、歯科診療が充実すること、飲み忘れ・飲み残しなどの服薬支援が受けられるなどのメリットをうたっています。

 高齢者が希望してかかりつけ医(高齢者担当医)を選べば、その医師が3か月に1度、患者にふさわしい治療計画を立て、年2回以上患者の日常能力や認知機能を評価するなど、生活を重視した医療を提供するとの説明です。

 高齢者は、老化に伴う生理的機能の低下や治療の長期化、複数疾患への罹患、とくに慢性疾患などに対処するため、特別な指導や管理が求められます。そのため、高齢者担当医として4日間の講習を受け、資格を得ることになっています。資格を取得した高齢者担当医は、患者の中心的なかかりつけ医となり、専門医への橋渡しの役割も果たします。

 高齢者担当医に登録した医師を、後期高齢者が担当医として選んだ場合、月600点の診療報酬になります。患者はこの料金(月6000円の医療費。一般的には窓口では1割負担、現役並み所得者は3割負担)でその月内は何回でも通院できます。患者と契約した担当医には、患者が他の医療機関を受診した情報や服薬の情報などが集約することになっています。

 患者にとっては、身近な医師にきちんと管理してもらったり、相談できれば安心につながると思われます。しかし、この高齢者担当医が全国で内科開業医3万7000人の23.6%である8876人しか登録がなく(2008年4月14日、厚生労働省まとめ)、しかも、登録のない都道府県もあるようです。また、各地の医師や医師会がこの担当医制度について反対をしているとの情報もあります。また、現状で開業医の情報が十分に行き渡っているわけではないので、担当医を患者自身が変更もできるとあるものの、担当医を選ぶことが自分にとって安心につながるかどうか見極める必要があるでしょう。この制度も始まったばかりで、今後改定もありますので……。

回答者・坂本憲枝(消費生活アドバイザー)

2008年6月2日

 

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