ホーム


厚生労働省、調査データを不正流用。外来管理加算5分ルールで。保団連の情報開示請求により判明

 

 2008年度診療報酬改定において、外来管理加算に「概ね5分を超えて直接診察を行った場合に算定できる」という時間要件が導入された。時間要件に関しては、中医協2号側委員から「医療の質は時間ではかれない」として反発があったが、厚労省、原徳壽医療課長は2007年12月7日の中医協基本問題小委員会で、「内科を主たる標榜科とする診療所において、医師1人当たりの、患者1 人当たり平均診療時間の分布を調査したところ、平均診療時間が5分以上である医療機関が9割という結果であった」という資料(下グラフ)を提示し、これを根拠に外来管理加算の時間要件が決定した。



 

 しかし、本会が「行政機関の情報公開法」に基づき同省にこのグラフの出典開示を請求したところ、実際には外来管理加算の対象となる再診患者に対する診療時間の調査は実施されておらず、「平成19年度厚生労働省委託事業 時間外診療に関する実態調査結果」の数値をもとに作成されたグラフであることが判明した(行政文書開示決定通知)。
「時間外診療に関する実態調査」は、「今後の時間外の診療体制のあり方を検討するため」として開業医を対象に行われた。調査用紙には、「回答いただいた情報については取扱いに十分注意し、統計的に処理するとともに、上記目的以外に使用することは一切ございません。」と明記されているにもかかわらず、これを密かに外来管理加算の時間要件という全く別の目的に使用したのは明らかな不正行為であると考えられる。
 しかも、作成された資料は、診療時間を患者数で割っただけの単純なもので、外来管理加算の算定要件に規定されている「診察時間」とは著しく乖離していた。このため4月以降、全国の医療現場では大変な混乱が発生している。今回の開示請求により外来管理加算5分要件の根拠は崩れたといえる。

 本会は厚生労働省の不正行為に強く抗議するとともに、根拠を失った外来管理加算5分ルールを即刻撤廃することを求めるものである。