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アフリカ会議 息長い支援で「近い国」に

 横浜市で開催されたアフリカ開発会議(TICAD)は、食料価格高騰がアフリカの貧困削減に及ぼす悪影響への強い警戒感を表明するなどした横浜宣言を採択して閉幕した。

 会議は日本が主導して国連や世界銀行とともに五年に一回開いている。四回目の今回は、アフリカ諸国五十三カ国のうち五十一カ国が参加し、首脳級の出席は過去最多の四十カ国に上った。日本の支援に寄せる期待の大きさをうかがわせた。

 アフリカは原油やレアメタル(希少金属)など豊かな地下資源の価格高騰などによる経済成長の一方で、貧困や感染症、紛争の後遺症という深刻な悩みを持っている。宣言はアフリカが抱える明暗を指摘した上で、「経済成長の加速」「貧困削減など人間の安全保障」「環境問題への対応」を支援の優先分野と位置付けた。貧困対策としての一村一品運動の有効性なども盛り込んだ。

 今回の会議で福田康夫首相は各国首脳級との「マラソン会談」を重ね、関係強化に強い意欲を示した。支援策も矢継ぎ早に打ち出した。政府開発援助(ODA)や民間投資を五年間で倍増させる。交通インフラ整備に向こう五年間で最大四十億ドル(約四千百六十億円)の円借款を供与する。日本の技術による資源開発、コメの生産量を十年間で倍増するといった具合だ。

 大盤振る舞いともいえる支援攻勢の背景には、資源や経済発展に着目した中国やインド、欧米などの積極的なアフリカ外交がある。遅れをとった日本としては、存在感を示すとともに国連安全保障理事会常任理事国入りへの支持を取り付けたい狙いがあった。

 日本とアフリカ諸国は「遠くて近い国」へ新たな一歩を踏み出した。しかし、正念場はこれからだ。アフリカの実情を踏まえ、それぞれに応じた自立への息の長い支援が求められる。何よりも、弱い立場の人々に支援が着実に届くことが肝要だ。不満が募り世情が不安定になれば、経済成長にも悪影響を及ぼすことになろう。

 アフリカ側の懸念が強い食料価格高騰もそうだ。貧困層の多いアフリカでは食料の確保が困難な人が急増し、暴動の火種にもなっている。日本は食料援助や農業協力を表明した。その着実な実行とともに国際社会の一致協力した対応が重要だ。

 七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)で議長国を務める日本はアフリカに対する先進国の支援拡大へ向け、リード役をしっかり担わなければならない。


クラスター弾 平和国家の役割果たそう

 不発弾の爆発で一般市民に多数の死傷者が出ているクラスター(集束)弾の使用や製造を禁止する条約が、アイルランドの首都ダブリンで開かれた国際会議で採択された。参加した約百十カ国の全会一致である。「部分禁止」を主張していた日本も方針を変更し、「全面禁止」にかじを切った。

 条約では禁止の例外として、一部の最新型を指定したが、実質的な即時全面禁止となった。クラスター弾大量保有国の米国、ロシア、中国などの不参加で、実効性を問う声もあるが、国際的な圧力ともなり、重要な一歩を踏み出したといえよう。

 クラスター弾は、一発の爆弾の中に多数の子爆弾を内蔵し、投下後に子爆弾が空中で飛び散って落下する。子爆弾は不発率が高いとされ、紛争が終わっても長期にわたり民間人が多数犠牲になるなど深刻な人道被害をもたらしている。自衛隊も保有している。

 今回の条約採択への動きは、二〇〇七年二月のオスロ宣言からスタートした。ノルウェー、アイルランド、ニュージーランドなどの有志国と国際非政府組織(NGO)が主導して、協議を重ねた成果で、国連主導の交渉枠組み外で作られる軍縮条約としては、一九九七年調印の対人地雷禁止条約(オタワ条約)以来の快挙となった。

 日本は初回から会議に参加したが、米国との同盟関係への影響を懸念して慎重な姿勢だった。同意に踏み切った背景には福田康夫首相の決断があったとされる。政権浮揚への思惑がうかがえるが、平和国家を目指す日本としては、むしろ全面禁止の先頭に立つべきだった。

 米国やロシアなどを条約に取り込む努力も欠かせない。日本は同盟国である米国に積極的に働き掛けていくことが必要だ。

(2008年6月1日掲載)
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