(cache) 日本共産党が新社会党からの共闘の申し入れを断ったことについて～

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性別: 男性
都道府県: 大阪府
自己紹介: 小説家。平和活動家。自衛隊イラク派兵差し止め訴訟名古屋原告団。「平和の井戸端会議」主宰。「大阪憲法ミュージカル2008実行委員会事務局」「へいこうせん（平和と公正の選択を求めるネットワーク）」

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日本共産党が新社会党からの共闘の申し入れを断ったことについて～

政治経済 | 2006年01月12日 02時04分45秒

★遊牧民★です。

新社会党から『憲法改悪阻止の共同の可能性について、率直な協議』のために、社民
党を含めた三党の窓口をつくってほしいとの申し入れ」に対し、日本共産党が断ったことについて、いくつかのブログなどでは、賛否両論が巻き起こっていますが、ここでたいへん参考になる論説をご紹介します。

下記の論説は、私が参加している「市民社会フォーラム」のＭＬで、
ユニバーサルジャパンhttp://www12.ocn.ne.jp/~kitsumi/
の吉見道夫氏の論説です。
ご本人より転送転載の許可をいただきましたので以下に転載しますぅ～。

【以下転載】

１）日本共産党に対して「新社会党から『憲法改悪阻止の共同の可能性につい
て、率直な協議』のために、社民党を含めた三党の窓口をつくってほしいとの申し入
れがあったのに」断ったということについては、たぶん、これから日本共産党の中央
に対して数多くの批判的意見が寄せられてゆくだろうなあと思います。

２）私も、憲法の平和主義の一点にしぼって、大局の立場から協議してゆく窓口
をつくってゆくことは大切だと思います。
たとえば、１９３５年だったと思いますが、西安事件で中国の共産党と国民党が、抗
日統一戦線をつくる時は、大衆の中に、国民党は共産党への攻撃をやめて、侵略して
くる日本軍と戦えという世論がもりあがり、その文脈の中で、蒋介石が共産党と手を
結ばざるを得なくなり、統一に成功したのでした・・・その背景には、共産党の方に
は、毛沢東の「矛盾論・実践論」（毛沢東が書いたのではないという説があります
が）があり、のちに文化大革命の非道を毛沢東はおこないますが、この中に、主要矛
盾と副次矛盾という考えがあり、日本の侵略を当時の主要矛盾とみて、共産党は国民
党によって本当に爆撃、攻撃され、殺されていても、国民党と手を結んだのでした。
・・・今の日本の状況で、今の平和憲法をまもろうとする党派が、その一点で協議す
ることは、日本共産党が、解放同盟（新社会党）から今も糾弾されつづけていても、
やってほしいことです。

３）しかし、日本共産党に意見を言う場合、やはり、部落解放同盟（新社会党と
たぶんかなり重なる）によって、どれだけ非道なことがなれたかを十分　理解した上
で意見してほしいと思います。私は、かつての侵略戦争に日本共産党が節をまげずに
抵抗しただけでなく、部落解放同盟の非道に対して、差別者でもないのに「差別者」
としてひどい目にあわされた人々の人権をまもりつづけた点で、たいへん支持してい
る側面があるのです。　

私が中学の担任だった先生たちは、７０年代に、中学校が荊冠旗で囲まれ、差別者で
もないのに、「浅田理論をゆうてみい」といって、夜中まで、つばをはきかけられた
りしながら、差別者として糾弾を受けました。ちょうど、中国の文化大革命で心ある
罪のない中国共産党の幹部が糾弾されたのと同じことがなされていたのです。でも、
当時、先生はどの子もふつうに同じように扱いたいと思っていただけです。助けにき
てくれたところが共産党だったということで共産党の支持者になられました。「八鹿
高校事件がなかったという人があるが、私はそんな目にあった」といっておられまし
たが、八鹿高校事件は最高裁で解放同盟側が有罪になりました。

マスコミはこの件ではいつも無視しました。・・・その広島県の地域、朝の全校集会
で、部落出身の子が、部落民宣言をおこなうことや、先生が、部落の地域の子供を教
えるために公費で主張します。もちろん解放教育関係の研究会への動員は、特定団体
擁護なのに全部公費です。そのような体制に批判的な意見を述べようものなら、広島
県の三次市の八次小学校につとめていた岡田さんのように、「差別者」として県北全
部にポスターが貼られ、車に傷がつけられ、教育委員会から差別教師として、現場か
ら切り離され、研修させられました。・・岡田さんは裁判に訴えて、勝利されました
が・・・・岡田さんから話を聞きながら、まさしく、天皇制に反対意見を言えなかっ
た状況と同じように、解放教育への反対意見を言えないシステムができあがったので
す。

・・・・私たちの社会に、多様な意見の存在を認めず、排除する質があることを、党
派にかかわりなく、直視しないといけないなあと思いました。・・・・広島県での岡
田さんのような勇気ある闘いには感動せざるをえません。その岡田さんたちの人権を
踏みにじっていたのが、小森さんたちの解放同盟であり、彼のひきいる新社会党だっ
たのです。・・・・私はこの広島県北の教育界にあったおそろしい状況は、党派的な
非難を超えた、私たちの社会の体質としてより深いレベルから考察する必要を感じま
す。（広島県北部の次のような動きを私はよく理解できます　岡田さんたちの地域で
す。）
http://www.geocities.jp/zenkairen21/04-5.html

４）広島県の高校の校長の自殺事件があった時以来、解放教育への反作用が極端
にでています。今度は、国家主義と進学主義に徹する公教育になりました。君が代を
歌う時、立たないなら処分です。国旗を見つめていないといけません。歌う声の大き
さを、大、中、小の三段階にわけて校長が評価するように教育委員会から指示があり
ます。・・・それでも、それまであった解放教育へ公金をつかったり、部落民宣言は
もちろんのこと、地域の解放子供会に公教育の教師が教えにゆくことは、終わりをつ
げました。・・・君が代は、式のときだけだし、あと進学主義という点数競争がは
いってきたけど、解放教育からの解放感の方が大きいと言っていた知人もいました。
・・・解放教育は中国の文化大革命の教育をイメージしたらわかりやすいのではない
かと思います。

５）大阪でも教育行政はまだ解放同盟とくんでいて、人権の名で、差別者狩り的
なことがつづいています。差別落書きは、すぐに消させるのではなく、写真にとりな
さい。そして差別事象として報告します。そして確認会という差別者として部外の人
もはいって差別者としてされてしまいます。差別者として烙印された人の話を聞きま
したが、やはり私は「差別されたものしか痛みがわからない」とする糾弾権には反対
せざるをえません。そこには「多様な意見の容認」はでてこないからです。

６）この前、大阪市の行政について論じた投稿の後、大阪市の解放同盟の西成支
部に現状改革派の若者がいると聞いて、間接的に、「多様性の統一」の立場から、接
触を試みてみました。残念ながら返事はきませんでした。大阪でも、部落解放同盟と
同和行政の問題を、克服することなしには、憲法擁護で、具体的に手を組んで進むこ
とはできないでしょう。私は、市民レベルで「多様性の統一」を実現するために、ど
うしてもこの問題を深いレベルで克服する道筋を見つけたいと思っています。
・・・・私としては、日本共産党の幹部が、せめて協議の場をもうけるくらいは応じ
てほしいと思います。しかし、人間の一生をだいなしにされた人もおり、この同和行
政や解放同盟の問題で、日本共産党が屈せず確たる態度をとってきたことが、日本共
産党を憎む人と支持する人の別れ道にもなっているなあと思います。

・・・日本共産党幹部へ新社会党との「協議」に応じてほしいと、要望メールなどを
だす時、より高い見地に立ってほしいと要望すると同時に、部落問題をめぐるテーマは、西日本の地域では、まさに生活をかけた闘いだった。部落問題について、共産党と同じ意見をいったら、「日共」「差別者」と罵られて、ひどい目にあわされる、関東では想像できないテーマだったし、今も、その流れが残存していて、まったく過去の問題とはいえない状況があるということを、理解した上で、アプローチしてほしいというのは、私の願いです。

注）

１）新社会党と解放同盟のかかわりの私の判断の根拠は、広島県の部落解放同盟の指
導者の小森龍邦氏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%A3%AE%E9%BE%8D%E9%82%A6
　が新社会党の委員長
http://www.sinsyakai.or.jp/html/html/mae-00.html
でもあることにあります。

　私は高校三年の時に小森氏の講演を体育館でききました。「君たちは、生まれなが
らの差別者である」みたない講演をききました。そして後に彼の著書を一冊よみまし
た。「マルクス主義と浄土真宗」のまざったような議論でした。社会党がつぶれた後
に、広島県と兵庫県の解放同盟の社会党だったリーダーは、新社会党をつくったので
はないか推測しています。　

　大阪の解放同盟の社会党から立候補していた人たちは、社会党がつぶれた後、自民
党から国会議員になりました。だから、解放同盟といっても背景にどのような勢力と
つながっているかは、地域によって違うなと思います。

（ネットの検索で調べてみたら、やはり部落解放同盟の小森龍邦氏が、新社会党の指
導者でした。ネットの百科事典の小森氏の紹介には、「戸手商業高校（現・戸手高等
学校）で暴力糾弾事件を起こし、暴行傷害罪で有罪判決を受けた」とあるように解放
同盟の糾弾闘争の先頭に立ち、今日までつづいた広島県の同和行政、同和教育の確立
に貢献してきた中心人物であることがわかります。

２）共産党は、こうした出来事への「憎しみの反作用」から、解放同盟に導かれた一
般大衆を混同しないようにする必要があります。私の知人の友人の部落出身の障害者
の人は、障害者差別を会社に受けた時、１９８０年代の話ですが、大阪府下の地域の
解放同盟支部に糾弾を頼みました。そして解放同盟は、その会社に一回だけ糾弾にき
ました。しかし、その後、彼は解雇されました。彼は、会社の解放同盟に対応する人
が、「２００万円つつんだらいいかなあ」と言っていたことを知りました。彼の糾弾
にことよせて、２００万円を会社からお金を受け取ることで彼への取り組みをやめた
のでした。とのことでした。解雇されて、解放同盟がお金を会社からとるために自分
が利用されたことを知った彼は、いろいろ調べました。するとその地域の支部長は、
右翼団体の人でした。さらに調べると、大阪の別の地域の支部長も右翼で、その背後
に自民党の大物議員がいました。だから、部落解放同盟＝新社会党と見るのは不正確
です。おそらく私の推理では新社会党は、広島県と兵庫県あたりの部落解放同盟を支
持母体としているのではないかということです。

３）新社会党は、神戸の市長選挙で、共産党とともに同一の候補者を推薦しました。
私は個人としては、地域的なレベルでの敵対関係はしかたないけど、平和憲法の一点
にしぼっては、協力してほしいとは思います。

４）しかし、政治というのは権力闘争だから真の統一はできないと考えています。世
界社会フォーラムのような、あたらしい形の市民レベルの「多様性を前提とした統
一」を追求したいと思います。それは、２０世紀型の民主的な諸運動を肯定しつつ、
それを超えることをめざします。

　「決定しない」「フォーラムを代表する人はいない」「権力闘争の場にしない」
「政党や軍事組織は参加しない」などの「原理憲章」のもとに、市民グループ、労働
組合、ボランティア・グループその他が、現状にかわるもう一つの未来をめざす対案
を深めてゆくことを目的にするこの市民社会フォーラムを拡大したような「フォーラ
ム」です。世界社会フォーラムの原理憲章はそのさい、たいへん参考になるとおもい
ます。

　私は、日本の各地域で、そのような原理のもとに、互いの信頼関係を醸成する場を
つくってゆきたいと思います。「地域社会フォーラム実行委員会」をつくるのです。
そしてそれぞれの地域の現状にかわる対案を追求します。もちろん「日本社会フォー
ラム」実行委員会ができたら一番いいと思いますが。それは、旧来型の何かの個別
テーマをもった団体ではなく、日本にあるすべての平和と生活の安定をねがう諸団体
を「多様性のもとに統合」することをめざします。その中で、部落問題をめぐる立場
の違いからの不信感の払拭も可能になるでしょう。

５）政治や社会運動は、集合的心理の作用・反作用の原理で動いているように思えま
す。小森氏が「部落民以外はすべて差別者だ」と見、部落の人々を「差別者」とする
ターゲットへの糾弾活動に駆り立てたのは、江戸時代からの差別への部落住民の集合
的心理の蓄積された反作用の力の出現の側面があるのではないかと思います。その憎
しみが、小森龍邦氏の心に結晶したのではないかと思います。政党レベルではなく、
世界社会フォーラムの原理憲章のような考えにもとづく「地域フォーラム」を形成
し、「多様性における統一」をはかることが、作用・反作用の循環を一歩超えてゆく
道であると私は考えています。

【転載おわり】
掲載責任★遊牧民★