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第6回目のテーマは、パリジェンヌのボディケア。
最近日本でも、ボディケア商品の棚が賑わってきましたが
本場ヨーロッパのボディケア事情はどうなっているのでしょうか?
消費者の目線でお届けします。


友人のパリジェンヌに「ボディケアで大切なことを3つ挙げて」と問いてみた。
彼女の最初の答えは(細めの体なのに!)「痩身」であった。
次が「乾燥対策」で、最後が「オートブロンザー」との事。

一概には言えないが痩身が最初に来るという答えには納得出来た。
何故なら欧米各国中、フランス女性はオートクリチック(自己批判)のプロであると私自身思っていたし、実際細い人が年齢関係なく多いからだ。
特にパリはその名声と共に世界中の視線が彼女達パリジェンヌに注ぐため、美容やファッションに対しての意識が非常に高く、第三者の目で自身の体型や外見を見る事が出来るのだ。
そんな向上心がまた世界の注目を集めるのかも知れない。
世界中で売れた伝説の痩身クリーム「スべルト」もフランス製であった。

フランス国内で美容ケア製品は20億ユーロ(3,000億円位)規模の市場をもつ。
このうち、ボディケア製品は3億5000万ユーロとされ、痩身クリームの占める割合は3/1であるが、ここ数年、年間30%のペースで拡大している注目市場になった。
夏前の5、6月に発表されることが多いこの痩身クリームだが、今年の夏は技術革新を売り物にした新製品が続いた。
例えば、「イブサンローラン・ボーテ」は国立科学研究所センターと提携して画期的な痩身クリームを発売し話題をさらった。
この痩身クリーム、様々な細胞の元となる幹細胞の貯蔵庫を明らかにし、ヒトの皮膚において行われている脂肪細胞の変成過程を、世界で始めて連続的にそのまま再現することに成功したのだという。
何だか難しいお話になってしまったが、私たち女性が知りたいのは効果の程。
結果が出てくるであろう今後が楽しみだ。


二番目に挙げられたのは乾燥対策であった。
パリの冬は想像以上に乾燥していて、肌に突き刺さるような寒さと乾燥しきった空気の中で、肌は大変なダメージを受けてしまう。
そのためパリジェンヌの乾燥対策は慎重かつシンプルだ。
効果があると思われているのはやはりファーマシー商品で、
例えば敏感肌専門の薬用ボディケアブランド「ルージュ・カウ゛ァイユ」は
皮膚科の先生が、肌の弱い女性に勧めていたボディケアラインであったが、
その効果に一般の人達も納得し、今では冬のボディケアのスタンダードになっているようだ。

ルージュ・カヴァイユ
ヒリヒリしてしまった肌にはもはや香料等が沢山入ったクリームでは逆効果で、
保湿そのものに着目したようなファーマシー商品が選ばれる。
このようにフランス人はファーマシー商品への信頼が高く、信用があるからこそ可能な、例えば、ボディケア用の錠剤をファーマシーで買い求める年輩のフランス人女性も多い。
街中のあちこちに点在する利便性も手伝い、一種の駆け込み寺的存在なのだろう。

このクリームで首をコルセットのごとく延ばしましょう


最後に挙げられたオートブロンザーに関してだが、バカンスが終わり、焼けた肌が元に戻り始めるこの時期を狙って、このところオートブロンザー関連商品のコマーシャルが街中に溢れている。
まず最初は「バカンス肌を延長してみませんか」というキャッチコピーのもと展開されている、ダブのオートブロンザー。
なりたい色の選択が用意されていて、使えば使う程肌がブロンズ色になるのだ。
値段が安い事もあり売上は上々のようだ。

ダブのオートブロンザー

ちなみにメンズコスメに力を入れている化粧品大手のニベアでも、オートブロンザー効果のあるローションのプロモーションに力を入れているようで その名も「サマールック」。
ニベアの男性用オートブロンザー・サマールック

やはりフランス人にとって日焼けは社会的ステイタスを誇示する1つの大切な手段で、
バカンスに出発出来る余裕(経済的&時間的)がある事を示し、また健康的に見える事も大切な要因だろう。パリに住んでいると、美白に対する考えが根本的に覆されてしまう感じだ。


最近の変わったボディケア商品を探してみると、こんな物に出会ってしまった。
「美容ストッキング」である。
今フランスで注目されている研究と言えば、高機能繊維である美容繊維の研究開発である。
これは美容機能を持った繊維を実際の商品に取り入れ、新しいコンセプト商品を創り出そうというプロジェクトだ。
これは引き締め効果と疲れを抑える効果がある美容ストッキングを開発したことが発端になっている。
皮膚とパンストがこすれストッキングに付着させたカプセル内の膜が壊れ、なかの美容成分が皮膚に浸透するという。
なんと洗濯をしても20回までなら効果が持続することが化学的に証明されているのだとか。
現在は引き締め、水分保持などの効果に留まっているが、今後は新たな美容効果が得られる更なる技術開発が見込まれ、女性の私にとっては夢の膨らむ話しである。


フランス流ボディケア事情を調べ始めて見えて来たのは、高級ブランド崇拝の終末である。
取って代わるのはより自然な原料やコンセプトで作られた自然派コスメをはじめ、効果が化学的に証明された実力コスメやシンプルなファーマシー商品だ。
アヴェンヌの広告・アヴェンヌは赤ちゃんを持った母親の優しいイメージ


白ワインの成分に着目したヴィノテラピー(ヴァン=ブドウ酒)

ヴィノテラピーの商品

この現象の代表的な例を挙げると、高級品世界最大手のグループ企業LVMH(ゲラン、ディオール等)のパフューム&コスメティックス部門の経営利益増加を支えるのが国内での売上ではなく、輸出の好調に支えられているという事実だ。

もちろん高級ブランドが担う「イメージの創出者」としての役割は相変わらずあるのだが。

シャロンストーン

ボディケアも下着と同様(!?)目的による使い分けが上手いのがフランス人。
必要によってはマシンでボディケアもするだろうし、錠剤も飲んでみる。

飲む錠剤

エステに行く余裕があるなら通ってみるだろうし、運動と食事による健康的な方法に回帰する人もいる。

ギノーの総合美容サロン

中国式マッサージ店はどこも人気
変わりどころで言えばハマム(アラブの蒸し風呂で、蒸気の中で汗をかき垢擦りを受ける)は大人気である。

結局のところ、フランス人にとってボディケアとは「Bien-etre」(自分らしくあるとか満足感を感じている)、という言葉がさかんに言われるように、何事にも第一に人生を充実させるという事が大切なようだ。
そもそもキャラクターがそれぞれ違うフランス人をカテゴライズするのは難しい。
だからこそフランスのコスメティック市場はバラエティーに富み最先端を行くと称される事が多いのかもしれない。


*佐伯美帆子さんのプロフィール*

76年東京生まれ。18歳で渡仏し日本に帰国後は広告代理店等に勤務し、05年フリー転向を機に再度パリへ居を移す。現在はパリ第四大学修士課程進学準備中のかたわら、翻訳やライター活動を行う。趣味は街中の美味しいバゲットを求めて散策すること、フランス女性の強く美しい生き方を学ぶこと。

   
 


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