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年々増加、救急車で軽症搬送 重症者にしわ寄せ懸念 /和歌山

 和歌山市の救急車の出動件数が6年連続で増加している。07年は1万7662件に達し、10年前と比べ1・6倍になった。入院の必要のない軽症者の搬送が増えたのが大きな要因で、中には搬送が疑問に思われるケースもあるという。重篤者の救急搬送へのしわ寄せも懸念される。不適切な利用を減らすため、市消防局が対策に乗り出している。【山下貴史】

 ◇“無料タクシー”扱いの人も

 市消防局は救急隊を10隊編成。07年の救急出動件数は前年比503件増の1万7662件で、1日平均48・4件、約30分に1回の割合で出動した形だ。

 搬送者は1万6574人に上る。市民22人に1人が運ばれた計算だが、軽症が1万617人で64%を占める。しかも、急病を理由に救急車で運ばれた9868人のうち6160人が軽症で、このうち2428人は自力で歩けるケースだった。

 軽症搬送者の中には、救急車を自宅前で立って待ち、通院に利用する人▽病院の待合室が込んでいるので別の病院に運んでくれという人▽病院の診療開始に間に合うように利用する人--など、まるで“無料タクシー”のように救急車を使うケースも。同じ人が何度も通報し、福祉担当者と自宅に行って説得したこともあったという。

 消防局警防課は「必要な時には通報してほしい」と前置きしながら「比較的症状の軽い方に対応していると、一刻を争う重症患者を救えないのではないか心配」と訴えている。

 こうした中、07年2月から、救急隊が出動中に別の要請があっても対応できるよう、救急の資格を持つ職員がポンプ車で駆け付ける制度を始めた。今年3月からはラジオ番組で正しい救急車の利用法を説明。緊急性の低い患者を搬送する民間事業者のサービス(有料)の周知も始めた。救急隊の今年の出動件数は5月29日現在、前年同期比619件(8・3%)減。同課は「利用者のモラルに訴えていく必要がある。地域のみんなが正しい利用を考えてほしい」と呼びかけている。

 ◇医療機関を案内

 救急車を呼ぶほどでもない時は「県救急医療情報センター」(24時間、073・426・1199)が医療機関を案内している。

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 子どもの急病は「子ども救急相談ダイヤル」(午後7~11時。ダイヤル回線・IP電話は073・431・8000。携帯電話・プッシュ回線は#8000)がある。「わかやま医療情報ネット」(http://www.wakayama.qq-net.jp)でも病院検索ができる。

毎日新聞 2008年6月1日 地方版

 
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