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【コラム】韓国人の対中投資をめぐる二つの誤解(下)

 中国に関するもう一つのうわさは「中国政府が韓国企業にだけ不利な措置を取り困らせる」というものだ。しかし、今回の“夜逃げ”の原因になった労働契約法にしても、韓国企業を含む外資系企業はもちろん、中国企業にも同様に適用される法律だ。人件費上昇をはじめ悪化する経営環境は中国企業も直面している現実だ。20年以上にわたり年平均9%以上の高成長を続けてきた国で人件費が上昇しないほうがおかしい。

 中国進出企業に対する誇張されたジンクスの話が収まらないのは、被害経験が増幅して伝えられるからだ。成功企業や満足している企業からこうした声は出ない。その上、外国で企業を経営する上での苦労を共有する感情から「必ずしもそうでもない」と反論するのも容易ではない。

 今、そうしたアンバランスを是正すべき時が来ている。中国で反韓世論が高まるなどの悪影響が無視できないからだ。夜逃げした企業は中国と縁を切ればそれまでだが、残された企業は刺すような視線に苦しむことになる。中国メディアは「夜逃げしたのは大部分が小規模で労働集約的な企業で、韓国にいてもつぶれただろう」と冷酷な評価を下している。

 李明博大統領は5月27日から30日の中国訪問で青島にも立ち寄った。政府内では「無断撤退問題で混乱した状況であり、優先順位からも外れる」と反対論が多かったが、外交安保関係者が押し切ったという。どうせ行くならば韓国企業を激励すべきだが、バランスを欠く発言で中国メディアに誤ったシグナルを与えないようにすべきだというのが中国専門家の指摘だ。

崔有植(チェ・ユシク)産業部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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