不法滞在者の子供の取り扱いについて
日本の裁判所の判断はやがて国家の瓦解に通じる
中国人長男の強制退去処分取り消し
大阪入国管理局から不法滞在として強制退去を命じられた大阪市在住の中国人の両親と長男の男性(19)が国に処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が28日、大阪高裁であった。
渡辺安一裁判長は、男性について「幼少期に不法滞在と知らずに生活しており、現在の事情や生活環境を総合考慮して判断すべきだ」として、男性の請求を棄却した1審・大阪地裁判決を取り消し、在留資格を認めた。両親については棄却した。
判決理由で渡辺裁判長は、男性は小学校低学年から高校まで日本で教育を受け、中国での生活は多大な不利益になると指摘。強制退去とする判断は「社会通念に照らして著しく妥当性を欠く」と述べた。
判決によると、男性が8歳だった平成8年12月に両親が偽造パスポートで入国。その後不正が発覚して強制退去処分となったため、17年3月に提訴した。男性は現在大阪府内の大学に進学している。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080528/trl0805282126028-n1.htm
日本の裁判所が如何に狂っているか、そのことを明らかにする上でこの判決を取り上げて見ることにしました。偽造パスポートで日本にやってきて働くことは違法であり、見つかった場合、即強制送還になるのは当たり前です。
しかし、この強制送還を免れるために、人権派団体などは特別残留などの申し立てを行なわせ、これを支援する活動をこれまで展開してきました。
人道的な配慮から強制送還などはすべきでないという主張です。
1、まじめに働いて日本社会に貢献してきた。
2、母国に戻っても、生活基盤がない。
3、子供が日本で生まれ育っているので、母国に帰っても日本語しか話せないので心配だ。出来れば日本で生活したい。
全て身勝手な主張であり、偽造パスポートでやってきて、日本で住みたいなどと言うことを許していたら国家など成り立たない。人権派団体には国家という概念が最初から頭にないので、このような驚くべき主張を展開しているのです。
これまで、1と2の主張が裁判所で認められたケースはありませんでした。(偽造パスポートでの入国に関しては)しかし、3のケースについては、日本の裁判所がこれを認めるケースが相次いでいます。
両親については強制送還となりますが、子供が大学などに入学している場合は、イラン人や中国人に対して特別残留資格が認められています。
このような特別残留が認められた学生が卒業した場合、彼らに日本への帰化や特別永住資格の付与が将来与えられる可能性も出ています。そうなれば、両親を日本に呼ぶケースも今後出てくるでしょう。
このような問題について、これまで人権派団体の主張に反対し活動してきたのは、我々NPO法人「外国人犯罪追放運動」と出入国管理研究会の2団体くらいなものでした。
我々の掲げる「外国人犯罪」とは凶悪な犯罪という意味ではなく、当初は偽造パスポートや観光ビザで入国し、そのまま居座って日本に滞在する不法滞在や不法就労のことでした。
凶悪な犯罪は警察に任せるしかなく、我々は不法滞在者の問題などに取り組んできたわけです。そのような活動の中で出入国管理研究会(代表小菅清)と知り合うようになりました。
現在、小菅清先生は内外地理研究会という名称で、様々な活動に取り組み、家族破壊の元凶ともいうべき欠陥DV法にも取り組んでおられます。http://www8.ocn.ne.jp/~kosuge/
さて、私達は平成13年8月1日に機関紙で、この小菅先生にインタビューしていますが、今回のこの不法滞在者の特別残留問題でも、近い将来大問題となると警告を発してきました。
小菅先生は学校の教師をしていたので、余計にこの問題に対する認識がおありだったわけです。これまで文部科学省は不法滞在者の子供は学校にはいないーと我々の質問に答えてきました。
もし、不法滞在者の子供と知りながら、入学を認めると大変なことになります。学校は親が不法滞在をしている事実を入管に通報する義務を負うからです。
そのことを嫌がってか、文部科学省はその子供が不法滞在者の子供か、そうでないかの調査もしてこなかったと言うわけです。しかし、これは嘘で知っていながら、知らないふりをしてきたと言うのが本当のところでしょう。
我々は今から15年以上も前から、今日の事態を予測して警告して来ました。すなわち今回の動きですが、この小菅清先生も我々のインタビューに答えて平成18年に次のように述べられていました。
「国籍を問わず、不法滞在者らは子供を日本の学校に通わせ、やがてそれを理由として、もう母国の生活には順応できないという理由で、在留特別許可を得ようとするでしょう。」
「こうした活動を支援しているのが人権派と称される市民団体ですが、今後は裁判に持ち込むことが多くなることと思います。戦法としては上手ですね、なぜなら子供をダシに使うと有利だと知っていますから・・」
今回のケースなども、長年の人権派団体の運動が実ってきたという証でもあります。これは日本にとっては極めて憂慮すべき事態であり、このようにして今後日本に居座るケースが増加して行くと見られます。
両親の待つ母国に帰すことに、何の問題・障害があるというのでしょう?子供は両親の元に返してあげれば、すぐに順応するようになる筈です。
それを無理やり離すことが果たして「社会通念に著しく妥当性を欠く」ことなのか、私はこの日本の裁判所の見解には断じて同意できません。