日本航空のシンボルとして、半世紀にわたって親しまれてきた「赤い鶴」のマークの飛行機は、いまやわずか2機が残るだけです。
それも来月塗り替えられることになり、あすはラストフライトを迎えます。
きのうの福岡空港。
尾翼に赤い鶴のマークが描かれた日本航空の飛行機が着陸しました。
「半世紀にわたって親しまれてきたこの鶴のマークが、まもなくラストフライトを迎えます」
JALグループが所有する機体は272機。
このうち、鶴のマークが描かれている飛行機は、国内線と国際線に1機ずつ残っているだけです。
この鶴のマークは1954年、JALの国際線開設に伴い、日本らしさを強調するシンボルマークとして使われ始めました。
しかし、2002年の日本エアシステムとの経営統合に伴い、機体の塗装は新デザインに移行しました。
そして来月、残された2機のマークも塗り替えられることになったのです。
「仕事でもずいぶん乗りましたから、鶴のマークには愛着があります」
「海外といえば、この鶴のマークですから。憧れが…、残念ですね」
鶴が丸く羽を広げたシンボルマークは、「鶴丸」と呼ばれて親しまれてきました。
「ありがとうございます、行ってらっしゃいませ」
ビジネス客を中心としたきのうの搭乗客には、「さよなら鶴丸」と書かれた搭乗記念証が渡されました。
1961年、福岡−羽田間にジェット機が就航。
このあとJALの社章も鶴のマークになりました。
1970年、羽田発福岡行きの日航機がハイジャックされた「よど号事件」。
1980年代に始まった海外旅行ブーム。
鶴のマークは、様々な出来事、時代の変遷を見守ってきました。
「入社2年目に、研修で客室乗務員として南米線に乗務。その際、日系1世の人が里帰りする便で鶴のロゴを見て、日本だ、と涙を流していらっしゃった」
鶴が大空を舞うのは明日が最後です。
福岡空港を午後3時15分に発つラストフライトは満席。
別れを惜しむ搭乗客を乗せて、最後の翼を広げます。