原油価格の高騰による石油元売り大手の卸価格引き上げ方針を受け、ガソリンスタンドの中には6月1日から1リットルあたり十数円値上げし、レギュラーガソリンの価格が170円台を突破する店もある。このため各地のガソリンスタンドでは31日、駆け込み給油で混雑し、客に再値上げの説明を求められるなど対応に追われた。暫定税率の復活による5月1日の大幅値上げに続く再値上げ。「値上げはどこまで続くのか」と消費者も不満を募らせている。
ガソリン価格は、石油元売り大手が卸価格を6月から9円59銭〜12円前後まで引き上げる方針で、これに応じて小売業者でも10円前後の値上げが避けられない状況になっている。
大阪府箕面市の伊丹産業セルフ箕面給油所では、1日午前9時から値上げすることを決定。レギュラーを13円値上げし173円、ハイオクは15円値上げの185円で販売する。
この日同店は、1日からの値上げ前に給油を済ませようと訪れる客らで混雑。「値上げはどこまで続くのか」、「何とか安くできないのか」などと質問する客が目立った。
同店の福丸雄司店長(38)は「この仕事を初めて14年になるが、170円台は想像したこともない値段。お客さんには理解してもらうしかないが、暫定税率復活による前回の値上げさえなければ」と話す。
大阪市内でガソリンスタンドを経営する業者は1日からレギュラーを163円から175円に値上げ。客に値上げを知らせるため、5月半ばごろから「5月中の満タン給油をお勧め致します」と記載した張り紙を店舗に表示した。同社では5月1日の値上げ以降、売り上げが約3割も落ち込んでいるという。
一方で、神戸市中央区のガソリンスタンド店長(37)は「1日早朝に車で周辺を回り、ライバル店の動きを確認したい。値上げしなければ確実に赤字だが…」と話すなど、値上げを決めかねている店もある。
大阪市内のガソリンスタンドを訪れた同市浪速区の会社経営、大山一幸さん(66)は「また値上りでうんざり。通勤以外は車を使わず、遠出もしない」と話していた。
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