下北沢から渋谷へ。
井の頭線で僅かに場所を南へ移し、されど揃った面子は『ほしのこえ』の時と同じ……という訳で、本日は先頃からの予定通りにシネマライズに赴いて『雲のむこう、約束の場所』を鑑賞。
■目指した上映時間の40分前に現地着。劇場の表に僅かにはみ出した入場待ちの行列に少々不安を覚えながらも事もなく入場。1階席の最後列とはいえ決してスクリーンまでの条件は悪くなく、座り心地も丁度よい座席にていざ開幕……とその前に本日は初日ということ、監督の新海誠氏とタクヤ役の萩原聖人氏が壇上に登場。
製作に費やされた二年間をやたらと強調し、いずれ発売されるであろうDVDに向けてのセールストークも熱心な萩原氏に対して、監督は終始控えめかつどこか飄々とした物事……とはいえ司会の方から投げかけられた「次は?」の問いに対しての「出し切ってしまったので今は空っぽ」を意味する応えは確かな重みが在ったと率直に。
状況或いは立場によってはなかなか素直に言えない一言ではあるのかもしれないけれど、作品をひとつ送り出した後にこういう言葉が出てくるのはひとつ本物だと思うし、よって実に好感。
■さておき本編。まだまだ公開期間中ということもあるのでここは一つ一切ネタバレ無しで、主観的な印象だけを取り留めなく。
いやー、「完敗」、或いは「完璧」の一言に尽きた!!!
劇場でスクリーン見ながら泣いたのなんてどれぐらい以来だろうか……随所に盛り込まれそしてひしひしと伝わってくる、それに呼応して内側から込み上げてくるような熱い波動の連続……いや、本当に熱かった。だからこそ、無性に泣けた。
クライマックスで覚えた感覚は辛さや悲しさとは異なるもの……ただただまっすぐに突き進む勢いと、そこに籠められた想いの深さとひたむきさがどうにも熱くて仕方なかった。……いやー、次の回の方が並んでいる所を出ていく際に恥ずかしいのなんのって(苦笑)
それにしても「空へと舞い上がり、高みを目指す」こと、そしてそれに纏わる有象無象を描いたストーリーの、なんと心揺さぶられることか。これっていうのは、ある種自分の確かなウィークポイントの一つになりつつあるかもしれない。風を捉えて飛ぶ「翼」激燃え。
さておき、少しだけ気持ちを落ち着かせて、以下この作品について気づいたことをいくつか書き出し。
・手近なTVオンエアのアニメ作品(『舞-HiME』辺りとか)を差してラノベ的、と称するなら、むしろ自分にとってはこれこそがラノベ的だという実感がひしひしと。前者はおそらく電撃文庫世代、遡っても富士見ファンダシア全盛以後の世代に向けたものかと。自分のようなソノラマ文庫がルーツの人間には、これぞまさに親しみ憧れた感覚。
・今回、『ほしのこえ』と最も異なる点の一つとして、物語性の濃さ、それに伴う背景美術の位置づけが挙げられるんじゃないかとフと。ともすれば「情景を見せるためにシチュエーションが見出された」きらいが有るように取られる向きも無いではなかった前作に対して、今回はあくまでストーリーありき。彼女と彼ら、そして彼らが営む世界の一部として自然に、そして情感たっぷりに、益々磨きの掛かった美麗な情景描写、環境描写の妙を享受することが出来た。
・全編、そして作品全般に渡るバランス感覚も良好。世界設定、作品の鍵を握る裏設定についての広げっぷり、踏み込みっぷりも程良くそつなく、また、ちょっとしたシーンに見受けられるキャラクターの芝居の細やかさもなんといえない深い味わいが伺え。この辺りの匙加減、練り込みっぷりについてはまさに円熟の印象。鮮やかさ、瑞々しさはそのままに、前作からの確かな昇華が伺える仕上がりだった。
つか今回は『ほしのこえ』より遙かに一般向けです……話の方向性も、随所に盛り込まれた物語的なガジェットやギミックも。故にここは是非とも多くの方に見ていただきたい一本だと、敢えて声に出してお薦めさせて頂きたく。
■……とまぁ、つらつらと書き連ねた理屈っぽい方面についてはさておくとして、もうとにかく自分の大好きな要素がこれでもかこれでもかってほどにめいっぱい盛り込まれた作品だった。
ささやかな学生生活。郷愁を覚えずに居られない風景。
古びた駅。誰も居ない線路。
木立。草原。薄野原。日溜まり。
裸足。水面。制服。
渋い親父キャラ。ミリタリズム。
夕立。遠雷。
夕焼け。
ヴァイオリン。
飛行機。
そして、蒼空。
そんな多くのものを繊細に描いた映像で綴られた、文字通り夢のような81分。
劇中の諸々についてツッコミ所が無いなんて言わない。けれど、それを振り切って飛び立てるだけの速度と、熱い想いに溢れた一本。冬の気配を帯び始めた11月の空気すら心地よく思えるほどのこの温度を、この手応えを……当サイトのこの雑記を覗いて、拙文に目を通してくださっているあなたにも、是非とも味わって頂きたく。
つか、とにかく見てくれ。
■という訳で以下査収。

……といっても購入物は左のパンフレットと、画像に含めていないポスター二種。これらはいずれもチケット及びチラシと基本的に同柄。なお、ポスター購入に関しては劇中から受けたメージがより強く顕れている方を……と思ったものの、物販を利用できるのは上映開始前の時間のみ、とのことだったのでええいままよ、と双方購入。で、本編見てみたら結果オーライ。
■尚、本日に限っては全ての上映回に舞台挨拶が催されたようで、17:30〜の回と、19:30〜の回ではサユリ役の南里侑香嬢が来場していたようだけれど、ひとまず作品そのものでお腹いっぱいだったので敢えて目当てに二度目を〜とまでは及ばすじまい。つか、南里嬢を見るなら生歌が聴ける機会をやはり望みたいのですよ……とこの部分は私信。
■さてさて、醒めやらぬうちに語るだけ語ったので、ひとまず本日はここまで。
■目指した上映時間の40分前に現地着。劇場の表に僅かにはみ出した入場待ちの行列に少々不安を覚えながらも事もなく入場。1階席の最後列とはいえ決してスクリーンまでの条件は悪くなく、座り心地も丁度よい座席にていざ開幕……とその前に本日は初日ということ、監督の新海誠氏とタクヤ役の萩原聖人氏が壇上に登場。
製作に費やされた二年間をやたらと強調し、いずれ発売されるであろうDVDに向けてのセールストークも熱心な萩原氏に対して、監督は終始控えめかつどこか飄々とした物事……とはいえ司会の方から投げかけられた「次は?」の問いに対しての「出し切ってしまったので今は空っぽ」を意味する応えは確かな重みが在ったと率直に。
状況或いは立場によってはなかなか素直に言えない一言ではあるのかもしれないけれど、作品をひとつ送り出した後にこういう言葉が出てくるのはひとつ本物だと思うし、よって実に好感。
■さておき本編。まだまだ公開期間中ということもあるのでここは一つ一切ネタバレ無しで、主観的な印象だけを取り留めなく。
いやー、「完敗」、或いは「完璧」の一言に尽きた!!!
劇場でスクリーン見ながら泣いたのなんてどれぐらい以来だろうか……随所に盛り込まれそしてひしひしと伝わってくる、それに呼応して内側から込み上げてくるような熱い波動の連続……いや、本当に熱かった。だからこそ、無性に泣けた。
クライマックスで覚えた感覚は辛さや悲しさとは異なるもの……ただただまっすぐに突き進む勢いと、そこに籠められた想いの深さとひたむきさがどうにも熱くて仕方なかった。……いやー、次の回の方が並んでいる所を出ていく際に恥ずかしいのなんのって(苦笑)
それにしても「空へと舞い上がり、高みを目指す」こと、そしてそれに纏わる有象無象を描いたストーリーの、なんと心揺さぶられることか。これっていうのは、ある種自分の確かなウィークポイントの一つになりつつあるかもしれない。風を捉えて飛ぶ「翼」激燃え。
さておき、少しだけ気持ちを落ち着かせて、以下この作品について気づいたことをいくつか書き出し。
・手近なTVオンエアのアニメ作品(『舞-HiME』辺りとか)を差してラノベ的、と称するなら、むしろ自分にとってはこれこそがラノベ的だという実感がひしひしと。前者はおそらく電撃文庫世代、遡っても富士見ファンダシア全盛以後の世代に向けたものかと。自分のようなソノラマ文庫がルーツの人間には、これぞまさに親しみ憧れた感覚。
・今回、『ほしのこえ』と最も異なる点の一つとして、物語性の濃さ、それに伴う背景美術の位置づけが挙げられるんじゃないかとフと。ともすれば「情景を見せるためにシチュエーションが見出された」きらいが有るように取られる向きも無いではなかった前作に対して、今回はあくまでストーリーありき。彼女と彼ら、そして彼らが営む世界の一部として自然に、そして情感たっぷりに、益々磨きの掛かった美麗な情景描写、環境描写の妙を享受することが出来た。
・全編、そして作品全般に渡るバランス感覚も良好。世界設定、作品の鍵を握る裏設定についての広げっぷり、踏み込みっぷりも程良くそつなく、また、ちょっとしたシーンに見受けられるキャラクターの芝居の細やかさもなんといえない深い味わいが伺え。この辺りの匙加減、練り込みっぷりについてはまさに円熟の印象。鮮やかさ、瑞々しさはそのままに、前作からの確かな昇華が伺える仕上がりだった。
つか今回は『ほしのこえ』より遙かに一般向けです……話の方向性も、随所に盛り込まれた物語的なガジェットやギミックも。故にここは是非とも多くの方に見ていただきたい一本だと、敢えて声に出してお薦めさせて頂きたく。
■……とまぁ、つらつらと書き連ねた理屈っぽい方面についてはさておくとして、もうとにかく自分の大好きな要素がこれでもかこれでもかってほどにめいっぱい盛り込まれた作品だった。
ささやかな学生生活。郷愁を覚えずに居られない風景。
古びた駅。誰も居ない線路。
木立。草原。薄野原。日溜まり。
裸足。水面。制服。
渋い親父キャラ。ミリタリズム。
夕立。遠雷。
夕焼け。
ヴァイオリン。
飛行機。
そして、蒼空。
そんな多くのものを繊細に描いた映像で綴られた、文字通り夢のような81分。
劇中の諸々についてツッコミ所が無いなんて言わない。けれど、それを振り切って飛び立てるだけの速度と、熱い想いに溢れた一本。冬の気配を帯び始めた11月の空気すら心地よく思えるほどのこの温度を、この手応えを……当サイトのこの雑記を覗いて、拙文に目を通してくださっているあなたにも、是非とも味わって頂きたく。
つか、とにかく見てくれ。
■という訳で以下査収。
……といっても購入物は左のパンフレットと、画像に含めていないポスター二種。これらはいずれもチケット及びチラシと基本的に同柄。なお、ポスター購入に関しては劇中から受けたメージがより強く顕れている方を……と思ったものの、物販を利用できるのは上映開始前の時間のみ、とのことだったのでええいままよ、と双方購入。で、本編見てみたら結果オーライ。
■尚、本日に限っては全ての上映回に舞台挨拶が催されたようで、17:30〜の回と、19:30〜の回ではサユリ役の南里侑香嬢が来場していたようだけれど、ひとまず作品そのものでお腹いっぱいだったので敢えて目当てに二度目を〜とまでは及ばすじまい。つか、南里嬢を見るなら生歌が聴ける機会をやはり望みたいのですよ……とこの部分は私信。
■さてさて、醒めやらぬうちに語るだけ語ったので、ひとまず本日はここまで。
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