たばこを吸うと肺がんになりやすくなることが知られているが、飲酒が加わるとさらに危険度が1.7倍に増大するとの調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)がまとめ、30日発表した。飲酒によって体内で活発に働く酵素が、たばこの発がん物質を活性化していると考えられるという。
全国の40―69歳の男性約4万6000人を14年間にわたって追跡調査した。喫煙者と非喫煙者に分け、飲酒と肺がんリスクとの関係を調べた。期間中に651人が肺がんを発症した。
聞き取り調査をもとに飲酒量で「飲まない」「時々飲む(月に1―3回)」の2グループと、毎日飲む人については日本酒換算で「1日1合未満」「1日1―2合」「1日2―3合」「1日3合以上」の4グループ、合計6グループに分けた。
喫煙者の場合、飲酒量の多い2グループは、「時々飲む」グループと比べて肺がんになるリスクが1.7倍だった。
非喫煙者では、飲酒量が増えても肺がんリスクは上がらなかった。
日本酒1合のアルコール量は、焼酎で0.6合、ビールで大瓶1本、ワインでグラス2杯、ウイスキーならダブルで1杯に相当する。
[2008年5月30日/日本経済新聞 夕刊]