診断のつかない原因不明の症状に悩む患者を助けるための新しい研究プログラムが、米国立衛生研究所(NIH)により発表された。
この「未診断疾患プログラム(Undiagnosed Disease Program)」では、全米の医師からNIH臨床センターに紹介されてきた症例のうち、特に不可解なものを対象に研究を行う。患者の疾患管理を改善し、その疾患に関する一般の医学知識を向上させることが目的であり、NIH臨床センター、米国立ヒトゲノム研究所およびNIH希少疾患局の既存の施設およびスタッフを利用して実施される。
NIH所長のElias A. Zerhouni氏は「少数の患者には既知の疾患に一致しない症状があり、治療が極めて困難になっている。しかし生物医学的研究の歴史から、不可解な症例でも慎重に研究すれば、疾患の機序について新たな洞察が得られることがわかっている」と述べている。このプログラムに登録されたそれぞれの患者について、NIH臨床センターの上級医25人以上が評価を行う。医師の専門は、内分泌学、免疫学、腫瘍学、皮膚科学、歯科学、心臓学および遺伝学など。
プログラムの監督者William A. Gahl博士によると、厳格な紹介プロセスを開発し、これまで専門医を困惑させていたような症例に確実に対処できるようにしたほか、対象とする患者の適格性についても極めて厳しく選択していく予定だという。プログラムに参加するには医師の紹介が必要で、NIHが要求するあらゆる医療データおよび検査結果を提供しなければならない。基準を満たす患者(年間100人と推定される)については、NIH臨床センターで1週間ほどかけてさらに詳しい評価を実施する。
このプログラムの体系化にあたり、NIHは患者をサポートする擁護団体との連携を図っている。NIH希少疾患局長のStephen Groft氏は「多数の患者擁護団体と強力な関係を築いていくことを望んでいる」と述べ、NIHの研究グループ、擁護団体および患者らの新たなパートナーシップによって、明確な診断のつかない厄介な医学症状に直面している多くの患者に希望がもたらされると期待を示している。
原文
[2008年5月19日/HealthDay News]
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