特発性肺線維症(IPF)患者にパーフェニドン(perfenidone、日本では承認申請中)を毎日投与することにより、肺機能が改善し、生存期間が延長することが日本の研究グループにより示され、カナダ、トロントで開催された米国胸部学会(ATS)年次集会で発表された。
肺線維症連合(CPF、カリフォルニア州サンノゼ)のMark Shreve氏によると、IPFは原因不明で、数年以内に死亡する過酷な疾患。米国では常に12万8,000人がこの疾患と闘っており、毎年4万8,000人が新たにIPFと診断され、4万人が死亡している。主に中年後期から高齢期に発症し、健康な肺組織が役に立たない瘢痕(はんこん)組織になる進行性の線維症で、肺は徐々に硬くなり、患者の呼吸能力が奪われていく。これまでにIPF治療薬として承認された薬剤はなく、余命を延長できる唯一の治療法は肺移植であるという。 神奈川県立循環器呼吸器病センター(横浜市)の小倉高志氏らによる今回の研究は、軽度から中等度の日本人IPF患者275人を対象とした第III相臨床試験で、高用量(1,800mg)ないし低用量(1,200mg)のパーフェニドン、またはプラセボ(偽薬)のいずれかを毎日投与し、肺気量の変化、疾患の進行および生存率を1年間追跡した。その結果、高用量パーフェニドンを投与した患者はプラセボ群に比べて肺気量の低下が有意に小さく、パーフェニドン投与群では疾患の進行が遅いこともわかった。副作用としては、皮膚の発疹および食欲減退がみられたという。
10年以上前にIPF治療にパーフェニドンを使用する研究を先駆的に実施した米ワシントン大学メディカルセンター(シアトル)のGanesh Raghu博士は、今回の日本での研究を有望と評価する一方で、パーフェニドンがすべての肺線維症患者に有効であると結論付けるのはまだ早いと強調している。ヨーロッパおよび北米で同薬に関するさらに大規模な多施設試験が実施されており、その結果が出るまではこの知見をIPF患者全体に当てはめることはできないという。
同氏はこのほか、パーフェニドンがまだどの疾患についても米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けておらず、IPF患者は臨床試験に参加しない限りこの薬剤を使用することができない点も指摘している。また、パーフェニドンはIPFの進行を遅らせるとしても、止めることはできない点も指摘し、本当に喜べるのは治癒が実現したときだと述べている。
原文
[2008年5月23日/HealthDay News]
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