弟子たちの“さよなら”座談会 草若師匠、渡瀬さん、ありがとうございました

貫地谷しほり(以下 貫地谷)/渡瀬さんは、とにかく優しいんですよ。

桂 吉弥(以下 吉弥)/さりげないよね。

青木崇高(以下 青木)/親父というか、大黒柱というか、すごい存在感がある。師匠が渡瀬さんでよかったです。他の人は考えられない。

貫地谷/渡瀬さんがいると現場の空気が良いですよね。私、本当に大好きなんですよ。もう撮影にいらっしゃらないかと思うと、草若師匠が亡くなってしまうこととリンクして、すごく悲しい。

加藤虎ノ介(以下 加藤)/僕はテレビドラマで役をもらうのが初めてやったんで、いろいろとアドバイスをいただきました。どんな芝居をしても受け止めてくださって、懐の深さが本当にありがたかったです。

茂山宗彦(以下 茂山)/昔、渡瀬さんがご兄弟で共演されたことがあって、その時、お二人の父親を演じたのがうちのおじいさんだったんですよ。だから、親子を演じることに最初から運命を感じていました。それに、僕自身、親父が師匠で5人弟子の3番目なんで、小草若と立場が一緒!最近は、家のなかでのポジションも小草若っぽく浮いている感じで、全然馴染めない(涙)。だから、現場で渡瀬さんにお会いすると、家よりもホッとしていました(苦笑)。

加藤/ククククッ(笑っている)。

吉弥/僕もドラマとはリンクするところがあるんですよ。亡くなった師匠(故・桂 吉朝)も草若師匠みたいでした。僕は二番弟子ですけど一番弟子とは年が近くて、一番、二番がどちらも長兄という雰囲気やったんです。だから、立場としては草原と似た感じ。師匠とは、あんまり言葉は交わさないけど分かり合っているような関係でしたね。草若師匠の場合も、草原とは必要以上に話さないでしょう。四草の頭をぐしゃぐしゃってしたり、若狭のことを面白がったり。下の弟子たちとはコミュニケーションが多かったですけど。

茂山/お互いに役と重なる部分が多かったんですね。

吉弥/そうやなぁ。吉朝一門にも、草々みたいに熱く師匠にかかわっていくヤツがおったり、それぞれに個性はいろいろなんです。だから、草若邸でのシーンは、もう一回修業をやらせてもらっているような感覚でした。

青木/僕は「不器用なもんほどぎょうさん稽古する。ぎょうさん稽古したもんは誰よりも上手くなれる」っていう草若師匠のセリフが大好きで…。役である師匠と弟子としても、役を離れた俳優の先輩と後輩としても、両方の立場からグッときた言葉でしたね。渡瀬さんとは、いつかまた、ご一緒できたら本当に幸せです。そのために僕自身、努力しなくてはいけないですね。

貫地谷/本当に惜しげもなくいろいろなことを教えてくださって…。アドバイスもくださって…。本当は「クランクアップしないでください!」とお願いしたいくらいでした。

加藤/なんか言葉にならないですね…。

茂山/小草若が親父の寝ている布団に潜り込むシーンがあったんですけど、そのシーンを撮り終えた後、渡瀬さんが頭をくしゃくしゃってしてくださって…。親子の絆のようなもんをちゃんと感じさせてもらえました。

吉弥/なんかええ話やな。

貫地谷/渡瀬さんと茂山さんって、顔が似てますよね?最初にお会いしたとき、親子って言われてなんか違和感がなかったもん。

茂山/そう?ふがいない息子でほんまに申し訳なかったけど、これから草若師匠の遺伝子を継いだ小草若を表現できたらと思ってます。

吉弥/ドラマでは草若師匠っていう要の人物を亡くしたけど、それと同じように撮影現場も渡瀬さんっていう大きな存在が抜けるわけやから、頑張らんとあかんな。

青木/渡瀬さんの存在の大きさは、いなくなられて少しした頃に、本当の意味で痛感するんと違うかな。その寂しさは草々らが師匠を失うことと多分、一緒。僕らも現場でしっかりやっていかなあかんと思いますね。渡瀬さんに最後まで見ていただけるようにがんばって面白く作っていきたいと思います。「もうちょっと出たかったな」って言ってもらえたら、もう最高ですね。

一同/(深くうなずく)。

貫地谷/草若師匠、そして渡瀬さん、本当にお世話になりました。これからも徒然亭一門と私たちを見守ってください!

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