草若邸 セットのこだわり 大阪天満宮の裏手にあるという設定の草若邸。草若が一代で建てた屋敷は噺家(はなしか)らしいセンスにあふれています。スタッフがこだわり抜いて作った草若邸のセットをご案内します。

●コンセプト

和田家は民家風にどっしりとしているのに対し、草若邸は繊細で粋な数寄屋風の造り。部屋の色調も和田家は濃く、こちらは淡くしてあり差別化を図っている。
 内装は草若と亡き女将(おかみ)さんの趣味が融合しているという設定。至るところに草若の好きな骨とうが置かれており、その下に女将さんの趣味で帯で仕立てた敷物が敷かれている。庭と居間を隔てる障子にはられた紅葉の葉も女将さんのセンス。はめ込まれたガラスにもカーブをつけ、女性らしい柔らかさを表現している。
 また、至るところに“ヒグラシ”のモチーフが隠れているのもスタッフのこだわりポイント。ふすまの模様や居間にある格子窓の飾りなど、宝探しの感覚で“隠れヒグラシ”を探すのも楽しい。

●庭

草若邸の庭には竹が植えられている。窓の格子や縁側、庭の入り口も全て竹。部屋の中にも竹製のものが数多く飾られているのだが…。昔は箸の材料として竹が使われていたこと、そして落語「愛宕山」にも竹が登場するというのがその理由。喜代美と草若に関わるこだわりだ。

●居間

火打ち石居間に入ってまず目に入るのが、正面の縁起棚。縁起棚とは、商家や芸人の家によくある神仏混交の神棚。棚には火打ち石も置かれており、かつては女将さんが師匠や弟子たちを送り出す際に使っていたという設定。そのほか、釘隠(くぎかくし)や額を支える金具、透かし欄間(らんま)に、落語家を連想させる扇のモチーフが使われている。
床の間に飾られた掛け軸は、有名な『徒然草』の冒頭の一節というのもさりげないこだわりのひとつ。

●稽古部屋

草若復活以前は物置になっていた稽古部屋。当時は落語の墓場のようなイメージで、落語に関する道具などが押し込められていた。
 現在は、元の稽古部屋に戻り、掃除の行き届いたさっぱりした雰囲気の部屋に。師匠の持ちネタ50選が連なる木札が印象的。これは、故・桂 枝雀師匠の稽古部屋にあったものを参考にしている。

●草若の部屋

部屋に掛けられた額には古き良き時代の上方を描いた絵はがきを飾り、草若の上方を愛する心を表現。また、たんすの上には千社札が飾られていたり、落語の番付が飾られていたりと和を愛する心も伝えている。
 部屋に置かれたラジカセは喜代美のおじいちゃんと実はおそろい。