とっても温かいですね。いつも家族の幸せを願っているのですが、夢中になりすぎて、ときどき楽しいキャラクターになってしまう。ちょっと飛んだお母ちゃん(笑)。でも、常に娘や家族の幸せを考えているので「格好いいお母ちゃんだな」と思いながら日々演じています。滑稽(こっけい)に見えることもありますが、すごくチャーミングですね。
たくさんありますが、娘の卒業式や師匠へのごあいさつなどここぞという時にはきちんと着物を着て出かけるところ。「おかえり」とか「ただいま」とかいったちょっとしたあいさつを欠かさないところは特に好きです。普段は自由な雰囲気ですが、折り目正しい部分もあるんですよ。
最初に監督から「お母ちゃんが出てくるとホッとできるような存在でいてください」と言われました。ですから「ちょっとふっくらしているのもご愛敬かな」と思い、あえて三食きちんと食べるようにしています。笑った時の目尻のしわも糸子さんらしいと思っているのですが、いかがでしょうか?
また、貫地谷(しほり)さんのような年齢の子どもを持つ母親役というのは初めてだったので、いつも「ちゃんとお母ちゃんに見えているか」というのを気にしながら演技をしています。
第1週からずっと続いていることなのですが、毎週、台本を読みながら声を出して笑ったり、涙を流したり。大忙しです。実は、台本を読みながらおかしくて声を出して笑うというのは、なかなかないこと。しかも『ちりとてちん』の場合は、部分的にではなくて全編を通してそんな感じなんですよ。こんなにすてきな台本に出会えて「すごく大好きだな」と思うと同時に、「この面白さをそのまま見ている方にも伝えなくては」というプレッシャーを感じています。
自分自身のなかで衝撃的だったのは、第1週の落語再現シーンで生まれて初めてちょんまげをつけたこと(笑)。パッチもはきました。もうこの先、二度とないかもしれない楽しい扮装でしたね。でも、撮影前のメイクの段階では、少しブルーな気持ちだったんですよ。私の顔ではすっきりした二枚目の男性にはなれないと自覚していましたから(苦笑)。そうしたら、隣にいた京本(政樹)さんが「こういう風にしたら男らしい顔になるよ」とアイラインの入れ方を教えてくださって。最終的にはメイクを手伝ってくださいました(笑)。
家族のシーンは本当にあったかいです。おばあちゃんから孫まで三世代が同居していますからいろいろな考え方や意見があって、お互いになんやかんや言いながらも、まあるくなってひとつで動いていく感じ、とってもいい家族だと思っています。撮影で和田家のみんなが集まるとものすごくおかしくて楽しくて、そんな雰囲気も伝わればいいですね。
また、喜代美が入門した草若一門のみなさんも独自の世界を持っていらっしゃる。そんな中で、かわいい娘の喜代美が変化し、成長していく姿を見守っていただけたらと思います。