落語家は実力勝負の世界。若手の頃はなかなか仕事がないことも。特に年季が明けたばかりの落語家さんは生活が苦しいと言われることから、その日暮らし=そのヒグラシ。
ヒグラシ(セミ)は生涯のほとんどを土のなかで過ごし、成虫になって初めて外の世界に出て鳴く。落語家も長い修業時代を経て初めて高座に上がり、大きな声で芸を披露することから。
ドラマでは喜代美が好きな古典作品として登場する『徒然草』。一門の名前が徒然亭であることから、冒頭部分の「徒然なるままに 日暮らし」とヒグラシをかけている。
折り紙のセミ(ヒグラシ)<写真・い>がモチーフの元となっている。落語家一門の紋ということで、折り紙という伝統的なものをベースにデザインされた。
徒然亭一門の落語会で使われる膝隠し※<写真・ろ>や、草若や草々が着ている紋付きの羽織<写真・は>。喜代美が稽古で使う手ぬぐいや扇子など。ほかにも草若邸の至るところ<写真・に>にヒグラシの紋があしらわれている。
また、小浜の和田家にある喜代美の部屋には、折り紙で折ったセミ(ヒグラシ)<写真・い>が飾られていた。これは喜代美がいずれ徒然亭に入門することを暗示したスタッフの遊び心。お気づきだった方は、かなりの「ちりとてちん」通!
※上方落語特有の小道具で、木製の小さな衝立て。膝の前に置いて、演者の下半身などを隠す。