Silverlight をインストールするには、ここをクリックします*
Japan変更|すべてのMicrosoft のサイト
Mactopia*
マイクロソフト サイトの検索:
|ダウンロード|購入情報|ニュース リリース|セミナー/イベント情報|mac mojo ダイジェスト
iusers

iUsers へ戻る | 過去の掲載コラム一覧へ

No.217 - Macを「Paper Hub」にする

名刺、カタログ、手書きノートを一括管理
[2008530日更新]

イメージ

■紙の情報はなくならない

インターネット上の情報は爆発的に増え続けている。毎分毎秒更新されているニュースサイトやブログ、写真共有サイトやSNSのことを思い浮かべると、日々増え続ける情報の量の多さに気が遠くなる。

しかし、インターネットでみつかる情報がすべてではない。あなたの身の回りには、まだまだ交換した名刺や送られてきたハガキやチラシ、雑誌のお気に入りページといった、アナログな情報も溢れているはずだ。

今後、世の中の環境意識が高まっていっても、紙の情報がなくなることはないだろう。というのも、例えば結婚式の招待状や感謝状などは、やっぱりきれいな印刷や加工が施されたカードの方が「特別感」が伝わりやすい――紙のカードは、文字や絵といった情報だけでなく、デジタル情報にはない、紙の手触りや、香り、重さといった要素を持っている。

年賀状や名刺の交換といった習慣もなくなれば、紙の消費を大幅に減らすことができるかもしれないが、やはり電子メールでの「Merry Christmas」や「あけましておめでとう」では、どこか寂しいところがある(もっとも、個人的にはインクジェットプリンターで大量生産した年賀状よりは、プリンターでは印刷できないクリスマスカードの方がありがたみを感じるが)。

かといって、こうした身の回りの紙の情報をいつまでも、どこまでも取っておくことはできない。塵も積もれば山になるわけで、紙1枚1枚の重さはたいしたことがなくても、それが束になるとそれなりの重さになってしまう。いずれは本当に重要なものを除いて捨てなければ(リサイクルしなければ)ならない時が来る。

できれば、この時に実体は失っても、そこに書かれていた情報や、その紙があったという記憶は失いたくないもの。

実はここから先がパソコンの出番だ。

いずれ実態を捨てることになっても、かつて、その紙を持っていたという記録ならパソコンに残すことができる。

ノート型パソコンに取り込んでおけば、大量の紙束と違って、持ち歩きもラクになる。

デジタル化された情報に再び紙としての実体を与えたければ、プリンターを使って印刷させることも可能だ。

パソコンは、ちょっとした工夫で紙情報の中枢、「Paper Hub」にもなりえるのだ。

今回はそんな紙の情報(特に書類や名刺)の取り込みと管理のヒントを紹介しよう。

■ケータイに「書類」取り込み機能がついていないかチェックしてみよう

イメージ

多くの人にとって、もっとも手頃な取り込み手段は携帯電話の利用だ。

今ではほとんどの携帯電話に数百万画素の高画質カメラが内蔵されている。

これを使って、捨てようとしている書類や名刺、カタログなどを撮影し、その写真をパソコンに転送すればいい。連続して何枚も写真を撮った場合は、1度、メモリーカードに保存し、メモリーカードリーダー経由で、写真を撮り込んだ方がいいだろう。

だが、もし書類1〜2枚を撮影するだけなら、撮った写真をメールでパソコンに転送するとラクだ(ただし、これをやる場合、パケット定額プランなどに入っていないと、電話代がハネあがってしまう)。

書類を数十センチの至近距離から撮影する場合で、なかなかピントがあわない時は、携帯カメラの「マクロ」モードという機能を利用する。

携帯電話によっては、書類撮影専用のモードを備えているものもある。「ビジネスショット」、「文字」、「ハイコントラスト」撮影モードなどと呼ばれる機能で、書類上の文字がよりくっきり読みやすくなるように、自動的に書類のコントラストを高めてくれる。また、携帯電話によっては、斜めになってしまった書類の輪郭を自動的に抽出してまっすぐに補正してくれるものもある。

イメージ

もっとも、これらの特殊撮影機能を使ってしまうと、使われていた紙の質感や薄い文字などは見えなくなってしまうので、注意が必要だ。

なお、利用者が圧倒的に多いだろうからという理由で、まずは携帯電話の利用を紹介したが、もちろんデジタルカメラで撮影してそこからパソコンに転送しても、同じことだ。

デジタルカメラも、製品によっては「ビジネスショット」、「文字撮影モード」を備えたものがあるので、マニュアルで確認してみよう。

デジタルカメラの方が携帯電話よりも撮影がしやすく、うまく撮れたかの確認もとりやすいが、その一方でカードリーダーやUSBケーブルと介さないと写真を転送できない、という煩わしさもある(米国ではこの煩わしさを解消し、デジタルカメラから無線LAN経由で直接データを転送してしまうEye-Fiカードというメモリーカードが発売され話題になっている)。

どちらかに固執する必要はない。状況ごとに便利な方を使いわけるのが本当の理想だろう。

こういうことは、少しでも「面倒」と感じてしまうと長続きがしない。少しでもラクな道を選ぶことが本当の意味での正解だ。

■「書類」取り込みに最適化されたドキュメント・スキャナー

続く2つ目の方法は、スキャナーの利用だ。スキャナーとはコピー機と同じような仕組みで、紙のページを取り込む機械だ。中には紙だけでなく写真のフィルムをスキャンできるものもある。最近では専用のスキャナーを買う人は少なくなってきているが、プリンターやFAXなどと一緒になった複合機を持っている人も多いはずだ。

最近の専用スキャナーは非常に高解像度なので、スキャンした写真を印刷してもほとんど本物と区別つかない解像度にまで達し始めている。

ところで、一口にスキャナーと言っても、実はいろいろ種類がある。

もっともポピュラーなのはフラットベッド式といって、オフィス用のコピー機のようなスタイル。トップのカバーを開いて、ここにスキャンする紙を置き、スキャンボタンを押すタイプだ。カバーを開いたままにすれば、かなり分厚い本でもスキャンできるのがいいところだが、スキャンしたい紙を1枚1枚手動でセットアップしなければならないので、大量の紙を取り込むのには向かない。

これに対してオートシードフィーダー(Auto Document Feeder、ADFなどとも呼ばれる)式のスキャナー、複合機というものもある。日本語でいえば「原稿自動送り装置」。何枚かの紙を束ねて置いておくと、1ページスキャンした後、自動的にそのページを排出して次のページをセットしてくれる装置だ。

複数ページからなる書類の束をスキャンするときは、これがあるとないとでかなり手間が変わってくる。

ただし、フラットベッド・スキャナー/複合機も、ADF付きのスキャナー/複合機も1つ問題がある。

それは非常に大きな場所をとること、そしてスキャンに時間がかかることだ(実はスキャンにかかる時間は、スキャンをする解像度を下げることで、ある程度、解消できる)。

こうした理由から、専用スキャナーや複合機を持っていても、スキャンは数ヶ月に1回(あるいは年に数回)しかしないという人も多い。中にはせっかく複合機を持っていても、コピー機としては使っても、スキャナーとしては、1度も活用したことがない人もいるかもしれない。

だが、そんな人でも、活用したくなるスキャナーがある。ドキュメント・スキャナーやドキュメント・フィード・スキャナーなどと呼ばれる製品だ。ドキュメント・スキャナーは小型で、パソコン本体の横に置いて、すぐに使えるのが特徴だ。

イメージ

Mac用製品は、富士通の子会社、株式会社PFUが発売している。手軽さや携帯性を重視したScanSnap S300Mと頻用に適した同S510Mの2モデルが用意されている。

これらはいずれも一見すると小型プリンターのような形をしている。それもそのはずで、スキャナーに紙を平置きしてスキャンするのではなく、ちょうどプリンターが紙を少しずつずらしながら印刷する要領で、紙を少しずつ吸い込みながらスキャンしていく仕組みだ。

だが、ドキュメント・スキャナーの特徴は、それだけではない。身の回りの書類を、とにかく最小限の手間とストレスで、取り込むことに製品が最適化されているのだ。

フラットベッド・スキャナーのように、紙の端っこをぴったりスキャン面に揃える必要がない。プリンターで印刷するときのように、書類を揃えてフィーダーに置けばそれでセット完了。後はボタンを押せば自動的にスキャンが始まる。

またフラットベッド・スキャナーだと、例えば名刺など小さな印刷物をスキャンした場合でも、ピッタリその大きさに取り込むことができず、まわりにいっぱい余白ができるため、ユーザーがパソコン上で名刺の大きさに合わせてイメージを切り取らなければならない。

これに対して、ドキュメント・スキャナーではスキャン時に紙の大きさを自動的に認識して、ピッタリそのサイズでイメージを取り込んでくれる。このため切り抜き作業が不要なのだ。これは書類を取り込む手間を考える上で、非常に大きな違いだ。

イメージ

そしてスピード。紙を入れてスキャンボタンを押すと、ものすごいスピードで紙が吸い込まれ、1枚スキャンが終わると、自動的に次の紙も吸い込まれていく。

しかも、両面印刷された紙の場合、両面を同時に取り込んでくれるのだ(片面印刷の場合は自動的にそれを認識して、片面分の情報を切り捨ててくれる)。

書類の吸い込みスピードがあまりに速くて心地よいので、名刺などをスキャンし始めると、ついつい古い名刺まで掘り起こしてきてスキャンしたくなってしまう(一度に取り込める枚数はS300Mが10枚まで、S510Mが50枚まで)。

どのくらいの速度かは、動画を見てもらうのが一番、わかりやすい(ScanSnap S300 プロモーションビデオ)。こちらはWindows版製品の動画だが、Mac版もハードウェア的には同じなので、参考になるだろう。

ドキュメント・スキャナーは、フラットベッド型のスキャナーと違って本のページを取り込むことはできない。ただし、名刺やフライヤー(1ページもののカタログ)などの取り込みにはうってつけだ。

日々のメモを、ノートブックでなく、ルーズリーフやバインダ型システム手帳でとっている人なら、あとでそのページを取り外してスキャンすることも可能だ。

ドキュメント・スキャナーは、多くのフラットベッドスキャナーと比べると取り込み解像度では劣っている。ScanSnapの解像度はカラーで最大600dpi、白黒で最大1200dpiだ。ただし、これは、よほど繊細な描写にこだわらない限り十分な解像度だ。写真にしたってスナップショット的な写真を思い出として残すだけなら、この解像度で十分だろう。

ちなみに筆者は、ドキュメント・スキャナーとフラットベッド・スキャナー/複合機は二者択一の選択肢ではないと思っている。

パソコンのiTunesでも音楽が聴けるにも関わらず、多くの人がリビングでより快適に音楽を楽しむためにiPod用スピーカーを買っている。これと同様に、すでにフラットベッド・スキャナー/複合機を持っている人でも、書類を(そして何よりも名刺を)日常的に、より快適に取り込むための手段として、ドキュメント・スキャナーを別途使うのは、それほど無駄なことだとは思わない。

■iPhotoを使った書類管理と、iPod touchを使った書類持ち歩き

さて、それでは取り込んだ書類は、どのように管理すればいいのだろう。

携帯電話からメールで転送した場合も含め、いずれの方法で取り込んだ書類も、Macに標準添付のiPhotoを使って管理できる。

実は、前回紹介したDEMOsaというイベントで、このPFUのイメージビジネス営業統括部の豊島幹氏が、ScanSnapのおもしろい使い方を提案していた。

ScanSnapで取り込んだ名刺をiPhotoに登録しておき、iPod touch(やiPhone)を使って外に持ち出すというものだ。iPod touchやiPhotoはフォトビュアーとしても非常に優れているのは、ご存知の通り。

イメージ

iPhotoで「名刺」というアルバムを作っておいて、ここにスキャンした名刺を登録しておく。外出先で取引相手の電話番号が知りたくなったら、フォトビュアーを呼び出して、印刷された会社のロゴなどを頼りに、名刺を探し表示する。

どんな経緯であったかや、その人との関わり、といった事柄は、パソコンに取り込んでから情報を追加するのではなく、あらかじめ名刺にメモを手書きしておいて、一緒にスキャンしてしまう。

こんなことを紹介すると、「非効率でアナログ的」という人もいるかもしれない。スキャンした書類上の文字を認識するOCRソフトを使うべき、というおしかりもうけるかもしれない。エプソンのフラットベッド・スキャナーを使っている人は「読んde!!ココ」というOCRソフトがついているので、これを使って文字認識をした方が効率的な管理ができ、スキャンした書類の中身を、Spotlight機能で効率的に検索することができるし、そうした方が絶対的に良い。

ただ、OCRソフトは完璧ではないので、認識後は内容の確認が必要だ。それにスキャン+認識と一手間増えることで、書類の取り込みが億劫になる人も多いだろう。

そうした場合、OCRをかけずにとりあえず画像として取り込んでおいても、数十枚程度の名刺ならiPod touchやiPhone上で簡単に探し出すことができる、ということがいいたいのだ。

ちなみに筆者もこの方法を知ってから真似しているが、すべての名刺を同じアルバムにいれてしまうと、名刺探しが大変になってしまう。そこで「取引先'08年5月」、「友達」、「著名人」などいくつかアルバムを作って、そこに仕分けした方がいい。

筆者の場合は、少しでも少ない手間で仕分けできるように、マイレート機能も活用した。本来マイレートは、写真の善し悪しに応じて1〜5の数字を割り振るものだが、名刺に関してだけ特別ルールで、5は友達、4は取材した人、3は出版社関係、2はイベントで名刺交換をした人、1はその他といった具合に意味を決める。

iPhotoでは、画像を選択した状態で数字の1〜5のキーを押すことで簡単にマイレートを割り振ることができるので、これを使って手早く写真を仕分けする。

続いてスマートアルバムという機能を使って、「名刺」というアルバムに登録されていて、マイレートが「5」の名刺を「名刺:友達」という形でまとめるようにしたのだ。

■究極のPDF管理ソフト「Yep!」

写真などのスキャンはTIFFファイル形式で取り込む人もいるが、書類スキャン時の定番ファイル形式はPDFになりつつある。そして、このPDFの書類を管理するには、実はiPhotoより、もっとお勧めなソフトがある。

Ironic Software社の「Yep!」というソフトだ。

イメージ

最初に起動するとハードディスク上にあるPDFファイルを、全検索して自動的にライブラリーに登録してくれるのだが、この際、すごいのが1つ1つの書類に、自動的にタグ情報を追加してくれるのだ。例えばメールの添付書類なら「Attachments」というタグが追加され、さらにはどのメールアドレスで受信したものか、どこに保管されているか、といった情報もタグとして登録される。

もちろん、ユーザーが手動で、さらにタグを加えることも可能だ。

Yep!では、このタグを使って、全PDFファイル中から目的のPDF書類を探すこともできれば、iPhotoのアルバムのようにライブラリを作って整理することもできる。

さらには文字情報を持つPDFなら、キーワードを使った検索もできる(文字を画像としてスキャンしたPDFは対象外)。

携帯電話やデジタルカメラ、スキャナーで取り込んだ書類だと検索はできないが、それでも「名刺」、「カタログ」、「企画書」といったタグをつけておくだけでも使い勝手がいい。動作が軽快なこともそうだが、サムネール一覧の状態で、書類の中身を拡大表示できるルーペ機能があったり、複数ページからなるPDFを見開き表示してくれたりと、PDF書類ならではの利用方法に最適化されている点もいい。

イメージ

写真も書類も、すべてiPhotoで管理することに抵抗を感じている人もいるだろうが、iPhotoとYep!の両方を使うようになれば、書類はスキャンしたものも、電子メールやWebページから入手したものも、すべてYep!で管理する形で、プライベートと仕事で使うアプリケーションを切り分けできる。

ちなみにスキャナー付属のソフトはたいてい、スキャンした書類をどのアプリケーションで開く/登録するかを設定できるので、登録先としてYep!を選んでおくと便利だろう。

これまであなたがWebページや電子メールから入手した、最初からデジタルな書類しかパソコンで管理していないのだとしたら、アナログ書類の取り込みは、あなたのパソコンの活用の幅を大きく広げてくれるはずだ。

とりあえずはケータイで身の回りのメモを取り込むことから実践してみてはいかがだろう。

著者

林 信行 Nobuyuki Hayashi e-mail
The Proposal From Mactopia
プロフィール :
IT ジャーナリスト & コンサルタント。アップル社の製品やビジネス、カルチャーを'90年から取材。Blog やソーシャルネットワーク、インターネットビジネス、携帯電話関連の記事を、経済誌や新聞、パソコン雑誌に執筆。Mac 関係では、日本だけでなく英米、フランス、韓国、ドイツなど海外媒体にも記事を提供。最近の著書は「iPhoneショック」 (日経BP社刊) 、「スティーブ・ジョブズ〜偉大なるクリエイティブディレクターの軌跡〜」 (アスキー刊) 、「アップルコンフィデンシャル2.5J」 (アスペクト刊、共著) などがある。ブログ「nobilog2」も更新中。

過去の掲載コラム一覧へ


Microsoft