日本が主導するアフリカ開発会議は5年に1度開かれ今回は4回目だったが、今回ほど関心が高まったことはなかった。アフリカが全体として安定化へ向かい世界平均を上回る経済成長を続けているからだろう。だが、アフリカ支援を一時のブームに終わらせてはならない。長期的取り組みが求められている。
横浜で開かれた会議にはアフリカから51カ国の代表のほか、アジア諸国、国際機関、さらに非政府組織(NGO)などの代表約3000人が参加した。参加人数が多い会議がよいとは限らないが、アフリカ開発会議は日本主導の会議として世界的に定着したと言ってよいだろう。
会議が盛り上がった理由の1つとしてロックバンド「U2」のボノ氏が参加したり、政府が女優の鶴田真由さんを親善大使に起用、さらに横浜市が協力してアフリカ産品を紹介する催し物を開いたことも挙げられる。会議の模様をインターネットで中継し、理解を助けた。
福田康夫首相は盛りだくさんのアフリカ支援策を発表した。柱は政府開発援助(ODA)を今後5年間で倍増するという約束で、その中身として円借款を最大で40億ドル供与し、無償援助、技術協力も倍増すると述べた。
厳しい財政環境の中でも日本はアフリカ支援で頑張るとの印象を与えるよう苦心した跡がうかがえる。
この種の会議は成功することが事前に決まっているといわれる。会議に招かれる被援助国の代表は感謝の意を表明するからだ。
今回もアフリカ諸国首脳から日本に感謝する言葉が相次いだ。だが、約束したことは着実に実行しなければならない。
会議ではアフリカ側から貿易と投資の拡大を求める声も出た。確かに自立するためには援助だけでは不十分で、アフリカ産品に市場を開く必要もある。日本がもっと検討してよい問題だ。
会議の成果は「横浜宣言」として発表された。成長の加速、ミレニアム開発目標の達成、平和の定着、人間の安全保障、気候変動問題への対処などをアフリカ支援の優先分野として強調した。
もっともな指摘ばかりだが、この文書はわかりにくい。援助政策も国民の理解を得て実施されるはずだ。国際会議だとはいえ、もっとわかりやすい文言で成果を語るべきだ。
7月には福田首相が議長を務める主要国首脳会議(洞爺湖サミット)が開かれる。横浜での成果を生かし討議を進めてほしい。