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【社会】

もみじマークでお客さん敬遠? 義務化で高齢タクシー運転手困惑

2008年5月30日 18時37分

 75歳以上のドライバーは6月1日から道路交通法改正で、車の前後に高齢運転者標識(もみじマーク)を付けることが義務化される。困惑するのは高齢の個人タクシー運転手。「お客に敬遠されそう」「強盗に狙われやすくなる」と心配は尽きない。新たな“高齢者いじめ”との声も出ている。

 もみじマークを表示しないで運転すると行政処分として1点減点、反則金4千円。表示義務はタクシーも例外ではない。法人だと最高齢でも75歳までに退職するが、定年のない個人営業のタクシーは75歳以上も多い。名古屋地区最大の名古屋市個人タクシー協同組合は683人の運転手のうち、60人が75歳以上。他の組合も1割程度いるという。

 60年近い運転歴を持つ名古屋市南区の木俣順一さん(77)は「格好悪いし、抵抗あるね」と話す。「80歳までは運転できる」と、今も午前6時から午後1時ぐらいまで、月20日はハンドルを握る。同年代のベテラン運転手が最近マークを購入したが、「マークを付けたらお客さんにどう見られるか」とためらっている。

 高齢運転手は強盗被害に遭うケースも多い。26日深夜も名古屋市中区で同市緑区の個人タクシー運転手(76)が乗客を装った男に1万円を奪われ、手にけがをした。強盗は運転手をよく観察し、金が奪えるかどうか見極めて犯行に及ぶ。同組合の飯島宏事業部長は「見た目と年齢は必ずしも一致しない。もみじマークが標的にされる事件が起きるのではないか」と不安だ。

 各県警は施行後1年はマークを付けなくても取り締まらず指導にとどめるとするが、飯島部長は「75歳以上でも運転技術の優れた人はいる。マークだけで客に嫌われ、営業収入が落ちるのが心配。差別的な法改正だ」と話している。

 (中日新聞)

 

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