2008-05-28
■引越し初日

陽当たりの良いベランダに窓枠に腰をかけ、
電車の走る振動音を聴いている。
男は別の窓で煙草を吸っている。
「この部屋に君がいるなんて」
午前の授業に久しぶりに出席した帰り、という言い訳を用意して、
煙草を吸い終えた男が私の背に腕を伸ばしてきたので、
私は思い切り背伸びをしなくてはならない。
背伸びしたまま、私の腕は彼の肩から首へ回されている。
心の中で思っていても、口には出さないことが私にだってある。
背伸びし、腕を男の首へと上げたままの無防備な私の姿勢。
物書きを目指す若い男は私から何を学んだのか。
女の身体に痙攣を引き起こす術か。
私はマダム・エドワルダ。
引き起こされる痙攣と膣の奥に出される精液と、
汗と声と肉と何かと、
そうだ、私は痙攣の中に自己陶酔の美を感じるのだ。
太陽に当てられた私の裸身は美しい。
化粧なんてしなくても、私は美しい。
陽光に照らされた私の肉体は神々しかった。
「まるで神田川みたいだ」
そう微笑む彼の下で、
私はもう、別の詩を思い浮かべていた。
2008-05-23 ナジャ

円山町のホテルの窓を開けると、
似つかわしくないほど健康的な陽射しが入り込んだ午前7時。
朝の涼しげな空気が吹き込んできた。
外では太陽の下、働く人々の声と物がぶつかる音、トラックの振動。
ベッドでは背の高い男が寝ていた。
本と私。
それだけが彼の欲しがるもの。
一度は離れていった私を再び手に入れた男は、満足気に眠っていた。
裸のまま、上半身を窓から乗り出して、
私も何か、活動を始めなくてはならないのだろう。
布団の中に潜り込み、眠る男のペニスを口に含んだ。
昨晩から何度目かの性交。
背の高い男が圧し掛かると、私の体はすっぽりと納まり、消えてしまったかのようだ。
風が吹いている。
数えるのも面倒な幾度目かの射精。
男は私に口付けをした。
夜は眠らなきゃ。
だから朝、目が覚めたらセックスするのよ。
頭の中がすっきりして、一日を生きていけるだけの愛情をチャージ出来るわ。
私のエクリチュールは、もう斬新さを失い、色褪せてしまった。
私だってアンドレ・ブルトンと同じよ。
ただ一人の相手と愛し合いたいわ。
ただ一人の相手を愛し続けたいわ。
でも駄目なの。
私はナジャのように贋物だったから。
2008-05-10 オートマタ
生き人形をモチーフにしたモデルとして、
撮影されることが多くなった。
とうとう私はオートマタになれたのか。
私は子宮少女なんて自称することを阻まれるようになったらしい。
子宮女。
私の子宮は活動しているの?
排卵もしないのに。
不妊なのに。
私を第三者として客観視し、分析する;TOMO
分析内容を冷静に捉える傍観者;TOMO
理性では解っていながら、意にそぐわないヒステリックな;TOMO
子宮女は私に残された人間としての意識存在。
これが消失したときに私は私になれるのに。
■紹介文

昔、画家の谷神健二さんが書いてくれた私の紹介文。
文字ベースで自分表現をしています、なにかとてつもない
強靱な殻に包まれたエゴが、詩のような韻を踏んでは溢れてシミを作っ
て蒸発昇華されて痛い表現です、狂気や妄想と現実は決して裏表ではな
くて二重螺旋の構造体のようなのですが・・彼女は二つの螺旋を癒着さ
せて表現しているようです、強い引力を持ち得た魅力的な幻視世界です。
未だかつてこれほど嬉しかった紹介文はない。
automate_tomo
2008/05/10 02:23 部屋がカオス化しています…。片付けるのが面倒だったり…
2008-04-07 やるせない

YouTube - 譯懊?ョ蟄」遽? / 繝輔ず繝輔ぃ繝悶Μ繝?繧ッ
抒情詩を書くなんてことは出来ないのか。
他人からすればただの色恋沙汰ばかり綴られた日記でしかないのだろう。
桜のように舞い散ってしまうのならばやるせない
これから述べることは私の妄想だし、今までもきっとそうだ。
誰が傷ついて、誰が自殺して、誰が騙して、誰が騙されて、
嘘ばかりついたりつかれたり、どうせ私の指が適当にキーを打ち放ったもの。
私の指が幾重にも不貞を働きながら、
彼へと打つメールを辞められないでいる。
髪の毛に桜の花びらが降り積もるまで待っていられたら、
君は私の頭からそれを払ってくれる?
遠回しな君の指が私をもどかしくさせ、
この間の晩もまた、二人で背中を並べて手を彷徨わせる。
今度の逢瀬でこの指がなにを語るのか、
その指がどこへ向かうのか、
ほんの少しだけ、君と私の身長差だけ歩む。
2008-03-03
■最近の購入品

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- アーティスト: 志方あきこ
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■幻想とは…?

幻想とは本来、闇の部分が多すぎて、私はそこに惹かれているのではないかと疑った。
私は陰の中でしか生きていけないから、恐らくこの予測は当たっている。
暗いばかりの幻想が私の中で手をつないで踊っている。
2008-02-15

つまらないことばかり考えている。
今日は甘ったるいピンクのイチゴロリータでお出かけしようかな…と思ったが、
面倒くさくてこのまま脱いで戻す予定だ。
最近の裏切りの連続といっきに失せたものたちに縁って、
私は疲れ果ててしまったのだ。
「愛してる」と言っても、明るいときだけの私が好き。
機嫌が悪かったり、落ち込んでいるときは嫌いだと言って相談にも乗らずに
電話を切ってしまう恋人は、ただ単に私をセックスさせてくれる女だと勘違いしているのではないか。
もう、いいや。
死にたくなったらいつでも死ねる。
死んだら困る人が何人か出てくるだろうけど、
もうそんなこと、気にしてたって、
彼ら自身が私を自殺へと追い込もうとしているんだから仕方ない。
死にたくなったら死ねるんだ。
そう思い、ロープを見つめながら思うことは、
死ぬときは真夏にしようということだった。
2008-02-06 アイスマン
■永遠の離れ離れにある恋人

私が人生の中で最も愛してやまず、愛して病んだ男;アイスマン。
彼以上に愛せる人間なんてこの世にいるわけがないのだ。
私は彼を余りにも愛しすぎて、彼の存在が私を絶頂へと届かせてしまって、
もう戻れなくなってしまった、愛せなくなってしまった。
愛することがただ怖くて、怖くて、
いつかまた、彼のように突然消えてしまうようで、
私は愛してくれていた人たちを信じきれずに
「本当に最後まで一緒にいてくれる人は、『一緒に死のう』と言ったら、
ほんの少し考えてから肯いてくれる人だけ」
彼がそう言ったから、私はいつ言われてもいいように心を決めていた。
彼がそう言ったから、私は恋人とは一緒に死んでくれる人のことだと思うようになった。
彼がそう言ったから、私はいつもエレガントでいようと嗜みを身に着けた。
彼がそう言ったから。
こうやって繋がっていられる限り、僕たちはまた会える。
そう遠くないうちに会えるよ。
ねえ、私、もう以前の私じゃないの。少しはお金に余裕があるの。
まだ行ったことのない、あなたの生まれ育ち、今も住む北海道へ行ってみたい。
いいよ、おいで。
ああ…、もし北海道に行って、連絡がつかなくなったとしても、
会えずに終わったとしても、それでも私は彼の「おいで」という言葉だけで、
北海道に飛んでいってしまうんだ。
「おいで」
そう言われる度に心が躍った。
永遠に会えなくても私は彼を愛し続ける。
そういう恋人同士がこの世にいたっていいだろう。
世界の何処かで彼が私を愛してくれているのなら、
彼は私の恋人。
ただ北からの風が吹くだけで。