厚生労働省が公表した診療関連死の死因究明制度に関する「第三次試案」について、全国済生会病院長会の医療政策委員会(委員長:中澤堅次済生会宇都宮病院長)は5月30日までに、「診療関連死の取り扱いについて、多くの問題を含む第三次試案の拙速な法案化は避けるべき」などとする提言をまとめた。提言は「第三次試案は再発防止と処分という両立し得ない2つの目的を持っており、処分が再発防止に支障を来す構造上の矛盾は解決されていない」と指摘している。
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提言はまた、過剰な労働に悩む現場の医師を第三者や官庁が監視し、事あるごとに容疑者として弁明を求めるやり方について、「生命の危機に挑む医師のモチベーションをそぎ、医療崩壊を加速させる恐れがある」と強調している。
その上で、「いわれのない刑罰から医療者の人権を守り、再発防止と信頼回復を目的とした矛盾のないシステムをつくる必要がある」として、拙速な法案化を避け、引き続き議論を重ねる必要性を訴えている。
診療関連死については、「医療の専門性にかかわる問題が大部分で、医療者自身が透明性を持って究明し、責任範囲を決めて家族に提示。責任があれば補償を行い、再発予防につなげることが、すべての基本」としている。特に注意しているのは、業務上過失致死罪の適用で、「ここに第三次試案の問題が集約されている。真相究明が目的であれば、診療関連死を業務上過失致死罪と切り離すか、そのもの自体を廃止するしか選択肢はない」などと主張している。
更新:2008/05/30 19:06 キャリアブレイン
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