東京都江東区潮見2のマンションに住む広告会社社員、東城瑠理香さん(23)が行方不明になった事件で、殺害を自供した派遣会社社員、星島貴徳容疑者(33)=住居侵入容疑で逮捕=は月に50万円を稼ぐ優秀なプログラマーだった。一方で美少女アニメのグッズを持ち歩き、初対面の相手に父親への敵意をあらわにするなど、独特の性格も周囲に印象付けていた。事件後も何食わぬ顔で出勤していた星島容疑者。その素顔を探った。
「10年以上も実家に帰省しないのはどうしてなの」。昨年11月、星島容疑者が所属するプログラム開発会社の面接で、社長(40)が何気なく尋ねた。物静かだった星島容疑者の口調が一変した。
「父親が大嫌いなんですよ。殺してやりたいくらい」。それ以上は怖くて聞けなかったという。
岡山市出身で4人兄弟の長男。高校では情報処理科に通い、資格も取得した。テレビゲームが好きで、卒業後は都内の大手ゲームメーカーに就職した。数年後に辞めてからは都内の金融機関や通信会社などをフリーのプログラマーとして渡り歩いた。技能が高く、好条件を求め、ひとつの職場の在籍は長くても1年だった。残業はせず、知人は「人の2~3倍は仕事が速かった」と語る。
独身でたばこも吸わず、酒も2、3杯しか飲まない。「ゲームは何でもやりますよ」と話し、仕事で使うバッグには美少女アニメのグッズを入れていた。
今年1月からは、江東区の金融関連会社に派遣された。「キーボードが汚れる」と指先部分を切った白い布手袋でパソコンを操作し、机をぞうきんで頻繁にふき上げる。周りには潔癖性に映った。タクシーで通勤し、約2500円の運賃なのに3000円でお釣りを受け取らない客として有名だったという。
東城さん失跡が派遣先で話題になったこともある。「実は二つ隣の部屋なんですよ。警察やマスコミが大勢来て大変」。疲れた表情を見せ、失跡発覚の翌週に2度早退したという。派遣元の社長は「事件後は顔色が悪かったが、仕事は普段通りこなしていた。まじめで言葉遣いも丁寧で、なぜ事件を起こしたのか分からない」と首をかしげた。【古関俊樹】
星島容疑者が殺害後の東城さんの遺体について「のこぎりで細かく切断した」と供述していることが警視庁深川署捜査本部の調べで分かった。また、マンション周辺の下水道管から見つかった骨片のようなものは複数あり、プラスチック片は2~3センチ四方で、カードの破片であることがわかった。はさみで切り刻んだような跡があった。
毎日新聞 2008年5月30日 東京朝刊